エンタープライズ:ニュース 2003/05/01 22:13:00 更新


「ネットワークストレージでは管理が重要」とEMCのトゥッチCEO

米EMCの社長兼CEOを務めるジョー・トゥッチ氏は、ネットワークストレージは今後も成長し、そこでは管理――それも情報のライフサイクル全体にわたる管理が重要になると述べている。

「企業IT部門のストレージに対する需要は高まっている。今後もさらに多くの投資がストレージ、つまり情報に費やされることになるだろう」――米EMCの社長兼CEOを務めるジョー・トゥッチ氏は、NetWorld+Interop LasVegas 2003の基調講演でこのように語った。

 ストレージ業界大手のEMCは、同じくラスベガスにあるホテル、マンダレー・ベイにて、プライベートカンファレンス「EMC Technology Summit 2003」を開催中だ。同社はこのイベントにあわせ、マイクロソフトとの提携を発表したほか、シスコシステムズとはネットワークストレージスイッチ「Cisco MDS 9000」の再販契約を結んだことを明らかにしている。

 トゥッチ氏は、今後のストレージ業界の傾向として、ネットワークストレージが引き続き成長するであろうこと、そして情報のライフサイクル管理が求められることを指摘した。

 この数年の間で、DAS(Direct Attached Storage)からネットワークストレージへの移行の流れは、ほぼ確定的なものとなっている。EMCではかねてから、サーバとネットワーク、ストレージそれぞれのレイヤにおける統合を通じて、ネットワークストレージへのシフトが進んでいくというビジョンを示してきた。

 トゥッチ氏はその傾向を確認したうえで、「ストレージ、ネットワーク、サーバと、それぞれのレイヤにインテリジェンスが備わるようになる。ただし、それでいながら管理は1カ所から一元的に行えなくてはならない」と述べた。

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トゥッチ氏は、短い時間の中でネットワークストレージの重要性を強調した

 同氏は情報ライフサイクル管理というコンセプトにも触れた。このコンセプトは、簡単にまとめると、データや情報の性質に応じて、高速なディスクやATAディスク、テープなどの中から最適な媒体に移動・保存するというものだ。こうした包括的な、ライフサイクル全般にわたる管理が実現されれば、迅速なリカバリが可能になり、データ保護の確実さが高まる。そのうえコスト効果も向上するという。

 トゥッチ氏はさらに、ストレージ管理の重要性はいっそう高まるだろうと予測。それを支援すべくEMCでは、引き続き「AutoIS(Automated Information Storage)」戦略を推進していくとした。さらに「その次のトレンドは、ネットワークを意識した、エンドツーエンドでのデータパス管理になるだろう」と同氏は述べている。

 この基調講演では、ストレージの包括的な管理を支援するという戦略の一端を担う新製品として「PowerPath 4.0」が披露された。PowerPathは、ストレージネットワークに複数のパスを設定し、それを用いて負荷分散やフェイルオーバーを実現するためのソフトウェアだ。

 トゥッチ氏に続いて壇上に立った、EMCのオープンソフトウェア部門担当副社長、エレズ・オフェル氏によると、新バージョンは「完全にネットワークを意識したもの。この機能を活用すれば、より柔軟にストレージ環境を利用できる」という。

 新バージョンでは、EMC以外のディスクアレイ機器がサポートされたほか、LUN(Logical Unit Number)の認識機能が強化された。さらに、ダウンタイムを発生させることなく、情報を1つのストレージ機器から別のストレージへ移行できる機能も追加されている。これにより、「アプリケーションにまったく影響を与えることなくストレージの移行やアップグレードが可能になる」とオフェル氏は述べている。

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関連リンク
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[高橋睦美,ITmedia]