エンタープライズ:ニュース 2003/05/01 22:16:00 更新


Wi-Fiアライアンスが無線LANの投資効果を測定できる「ツール」を用意

i-Fiアライアンスはまもなく、企業向けにROI測定ツールを提供するほか、802.11gに関する相互接続性認定プログラムを開始する予定だ。

 無線LAN向けのセキュリティ技術「WPA(Wi-Fi Protected Access)」について、認定作業の開始をアナウンスしたばかりのWi-Fiアライアンスだが、今後もいくつかのプロジェクトに取り組んでいくという。

 Wi-Fiアライアンスは、無線LAN技術の普及・推進を目的に設立された業界団体だ。今年3月で設立3周年を迎え、同アライアンスの認定を受けた製品は700近くに上っているという。

 企業での無線LANの導入に当たり、大きなネックとなっていた要因がセキュリティだ。Wi-Fiアライアンスは、この問題に対する現実的な解決策としてWPAを提唱し、懸念の払拭に努めている。その次の取り組みとして、無線LANの投資効果を事前に計算できるようにする「ROI試算ツール」を提供するという。

 Wi-Fiアライアンスのジェーン・スタンカヴェージ氏は、「中規模から大規模の企業が、無線LAN導入に先立ってROIを計算できるようにし、意思決定を支援することが提供の目的」と説明している。

 このツールは近日中に提供される予定だ。Wi-FiアライアンスのWebサイトから、無償で入手できるようになるという。ツール本体はEXCEL形式のファイルだが、無線LANの利用を考えているユーザー数(ノートパソコンの台数や割合)、利用する時間といった条件を入力することにより、導入に要するコストと効果が計算される仕組みである。日本ならば稟議書作成などに利用できそうだ。

 当初WPAの認定テストは、今年2月に開始される予定だったが、結局4月にずれこんだ。この理由について、Wi-Fiアライアンスのボードメンバーであるビル・カーニー氏は、「より完全なテストにするため時間がかかってしまった」と述べている。

 カーニー氏によると、WPAに関する認定は、現時点ではまだオプション的な位置付けという。しかし8月をめどに、Wi-Fi認定の必須条件として組み入れていくという。その先の2004年前半には、IEEE802.11i仕様の策定を待って、WPA2へと発展させていく計画だ。

「WPAによってセキュリティの問題が解決され、ROI試算ツールによって、投資効果をあらかじめ把握できるようになる。無線LANがメリットをもたらす存在であることを、いよいよ企業にも実感してもらえると期待している」(スタンカヴェージ氏)。

 同アライアンスでは、仕様策定完了を前に製品が先行する形となった802.11g仕様についても、まもなく相互接続性認定プログラムを開始する予定だ。そして、「今後は、家電製品に代表される非PCデバイスや小型のデバイス、3G携帯電話などに対し、どういった形でWi-Fi認定プログラムを展開するかが検討課題となる」(カーニー氏)という。

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[高橋睦美,ITmedia]