エンタープライズ:ニュース 2003/05/01 23:30:00 更新


エクストリーム、10GbE時代をにらんだ新アーキテクチャ「4GNSS」を発表

エクストリーム ネットワークスは、パフォーマンスと柔軟性の両立を目指した第4世代のアーキテクチャ「4GNSS」を発表した。これをベースとした新プラットフォーム、コードネーム「Mariner」も披露している。

 エクストリーム ネットワークス(エクストリーム)はNetWorld+Interop LasVegas 2003の展示会で、これまでとは異なる設計思想に基づく第4世代のアーキテクチャ「4GNSS」を発表した。同時に、この新アーキテクチャをベースとした10ギガビットイーサネット(GbE)対応のプラットフォーム、コードネーム「Mariner」も披露している。

「Summit」「BlackDiamond」といったエクストリームの製品は、独自ASICによりパケット処理をハードウェア的に実行することで、CPUに頼るルータやネットワークプロセッサベースの製品には追随しがたい高いパフォーマンスを実現してきた。それは同社の「イーサネットこそIP」という戦略と表裏一体となっていた。ちなみにこの直前には、同様の思想に基づく第3世代のASIC、「Triumph」が発表されたばかりだ。

 これに対し4GNSSのアーキテクチャでは、プログラマブルASICの「T-Flex」が中核となる。この理由を、米エクストリームのマーケティング担当副社長、ダンカン・ポッター氏は次のように説明する。

「今後のネットワークには、PC以外のさまざまなデバイスが接続されるようになるだけでなく、VoIPやストリーミングといった新たなアプリケーションへの対応が求められる。そうした新たなアプリケーションを統合するためには、プログラマブルASICの柔軟性が必要だ」(同氏)。

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4GNSSは今後のネットワークの変化に適応するために必要だ、とポッター氏

 ダンカン氏によると、ASICの開発にはたいてい2年ほどの時間が必要という。つまり、MPLSやIPv6、あるいはその他の新しいプロトコルを利用したくても、タイミングが悪ければ2年間待つか、あるいはCPU処理で――この場合著しくパフォーマンスは落ちる――まかなうしかなかった。

 これに対しプログラマブルASICでは、ソフトウェアのアップデートだけで新たな機能を追加できる。そしてソフトウェアの開発期間はASICに比べずっと短く、3カ月程度で可能だ。したがってサービスプロバイダーにしても、企業ユーザーにしても、新しいプロトコルやアプリケーションを速やかに導入し、活用できるという。しかも、機能追加のたびにハードウェアを入れ替える必要がなくなるため、機器を停止する必要もなくなれば、投資の保護にもつながるという。

 こうした柔軟性の高さは、ネットワークプロセッサやFPGAを採用した機器が得意としてきたところだ。この点に関してダンカン氏は、「T-Flexは、ネットワークプロセッサのプログラム性、柔軟性とASICの高いパフォーマンスを両立させたもの」と表現している。

 4GNSSアーキテクチャは、T-Flexを核とし、Triumphで実装されたQoS機能「T-Control」や冗長化機能「T-Sync」を組み込み、さらにトラフィックの追跡・記録を可能にする「T-Stat」といった機能を備えている。

 このアーキテクチャに基づく初の製品が、Marinerだ。この製品は、キャリアや大規模エンタープライズをターゲットとしており、1つのシャーシで最大96ポートの10GbE、もしくは960ポートのギガビットイーサネットを収容できるという。また、電源をはじめとする各コンポーネントは完全に二重化される。ちなみにMarinerは、NetWorld+Interop展示会のインフラである「eNet」のコアネットワークで、10GbE部分に利用されている。

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初めて公に披露された「Mariner」

 Marinerの正式名称はまだ未定だが、米国では第3四半期に出荷される予定だ。本体の価格は5万ドル前後、10GbEポート単価は8000ドル以下を予定しているという。

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関連リンク
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[高橋睦美,ITmedia]