エンタープライズ:ニュース 2003/05/06 23:19:00 更新


見えない無線LANを可視化する管理ツール、分散型も登場

複数のベンダーが、目には見えない無線LAN環境を可視化し、アクセスポイントの設定などを管理できるようにするツールを発表した。

 イーサネットならば、たとえぐちゃぐちゃのスパゲティ状態になっていても、線をたどっていけばどこに何がつながっているかが分かる。しかし無線LANはそうは行かない。電波を目で見ることはできないからだ。

 それを目に見える形にしようと、Networld+Interop LasVegas 2003展示会では、複数のベンダーが無線LAN管理を支援するツールを出展した。

 エアウェーブの「AirWave Management Platform」は、オフィスの周辺に設置されているアクセスポイントを自動的に検出し、正式に設置されたわけではない不審なアクセスポイントの有無を確認する。さらに、各アクセスポイントの設定が適切になされているかを、WPAや802.1xといったセキュリティ上の設定も含めて定期的にチェックし、予期しない変更があった場合に検出する機能も搭載している。

 同社では、今年初めに新バージョンの2.0をリリースしたばかりという。このバージョンでは、シスコシステムズやプロキシム、インテルなど多くのサードパーティ製アクセスポイントに対応したほか、アクセスポイントの“指紋”を照らし合わせることで、不審なアクセスポイントを有線ネットワーク経由で検出することが可能になった。さらに、「AirWave Management Link」を利用すれば、ヒューレット・パッカードの「HP OpenView」といったネットワーク統合管理ツールとの統合が可能だ。

分散型アーキテクチャでリモート管理を

 ホストベースの不正侵入検知システム(IDS)、あるいはネットワーク・アソシエイツの「Sniffer Distributed」とよく似たアイデアを基に、分散型の管理システムを提供しているベンダーもある。

 エアマグネットの「Airmagnet Distributed」は、オフィス内に設置する「AirMagnet Sensor」と、このセンサーが収集した情報を集約する「AriMagnet Management Server」、その情報をグラフィカルに整理し、表示する管理コンソール「AirMagnet Console」から構成されている。AirMagnet Sensorは、アクセスポイント風のアプライアンスとソフトウェアの2タイプが用意されている。

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「AirMagnet Console」のグラフィカルインタフェース

 Airmagnet Distributedでは、無線LAN部分のパフォーマンスに加え、セキュリティも含めた各デバイスの設定を把握できる。さらに、AirWave Management Platform同様、不正なアクセスポイントや“ウォー・ドライバー”の検出も可能という。

 問題を検出し、ドリルダウン式で切り分けを行ったのちの診断と修復も可能だ。同製品にはさまざまな問題に対処するためのトラブルシューティング機能が付属している。Snifferで言うところの「エキスパート解析」に当たり、それがいったいどのような問題であり、どう解決すべきかを支援する。しかも一連の作業は、AirMagnet Console経由でリモートから行うことができる。

 同社ではAirmagnet Distributedによって、セキュリティや設定上の問題を解決するだけでなく、品質の高い無線LANサービスをユーザーに提供できるようになると説明している。また、現在東陽テクニカと共同で、Airmagnet Distributedの日本語化作業を進めているということだ。

 ワイルドパケッツも、無線LAN解析ツール「AiroPeek NX」で、リモートに分散した無線LAN環境の管理を可能にする「RFGrabber」を紹介した。一見アクセスポイント本体にも見えるハードウェアモジュールで、いわゆるプローブとして動作する。

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リモートサイトに配置する無線LAN用プローブ「RFGrabber」

 AiroPeek NXの新バージョンではインタフェースが改善され、問題のある部分をハイライト表示することにより、障害の検出と切り分け、修正までを効率的に行えるようになった。さらにRFGrabberを組み合わせれば、リモートの無線LAN監視、パケット解析とトラブルシューティングまでを一元的に行えるという。

関連リンク
▼Networld+Interop LasVegas 2003
▼エアウェーブ
▼エアマグネット
▼ワイルドパケッツ

[高橋睦美,ITmedia]