エンタープライズ:コラム 2003/05/07 21:50:00 更新


Linux Column:64ビットCPUの行方とLinux

最近の市場動向で注目しているのが64ビットCPUの一般化傾向だ。それには当然Opteronの市場への登場も影響している。

 まずは関係ない話から。

 GWが終わったが、皆さんはどのようなGWを送られただろうか? 私はカレンダー通りに休みを取ったのだが、今年のGWは世間一般も「安近短」だったようだ。自宅の近くにある「岡本太郎美術館」に行ってみた(歩いて!)。

 一言で言えば素晴らしかった。芸術家であり文筆家であり思想家でもある氏の作品だけでなく、制作風景を捉えた映像、さらには美術館全体がアートしている感があった。興味のある方は是非訪れてみてほしい。ちなみに感銘を受けたのが、「本職は何なのでしょうか?」というインタビューに応えて、「生きることが仕事であり、本職は人間だ」というコメント。かくありたいものです。

 閑話休題。

 前回はWindows 2003について触れたが、それに関連して最近の市場動向で注目しているのが64ビットCPUの一般化傾向だ。それには当然Opteronの市場への登場も影響している。

 市場を見るに、オープンなシステムに対する64ビットCPUとして先行しているインテルのItanium Processor Familyは、残念ながら成功しているとは言いがたい。理由は価格が高い、アプリケーションが無いなど多々あるだろう。一方、Opteronはx86系32ビットとの互換性を確保しているようだし、価格も少し手を伸ばせば買えそうだ。そう、なんと言っても秋葉原で売っているのが大きい。もちろんItanium Processor Familyも秋葉原で売っていたのだが、なにやら怪しげなルートから出回ってきたサンプル品だったようで、「売っている」と言うにはやや無理がある。

 もちろん、秋葉原で入手できることが市場性を決定付けるわけではないのは重々承知している。しかしアキバ系の人間から見れば、それでも「秋葉原で買える」ということが何か説明しがたい期待感を惹き起こさせるのだ。

 話が逸れてしまった。私はOpteronは市場では意外と受け入れられる下地はあるのではないかと思っている。急激に普及することはないだろうが、インテルのCPUでいえばXeonのラインナップと真っ向からぶつかるセグメントでは価格競争力はあるだろう。ただし、メーカーが製品をどの程度供給してくるかという条件がつく。いくら秋葉原で買えるからといって、業務系で本格的に使うのにOwn Riskでは駄目なのは当然だ。サポートの問題もあるだろう。

 OSという面で見ると、Turbolinuxがいち早く対応している。WindowsもXPや2003で対応してくるようだ。最近のデータベースシステムなどはたっぷりとメモリを使用したいから、IA-32系の4Gバイトの壁を不満に思っていた企業システムユーザーからは興味が向けられるだろう。

 期待感は大きいが、まだまだ技術的な点で市場一般にはその詳細が知られていない面がある。それも今後は競争が発生することで、多くの情報が市場に提供されてくるに違いない。あとは実際の利用例、特にオープンソース系のソフトウェアの場合、実際に動くのか、どこまで動くのか、制約はあるのか、といった情報が無ければ、なかなかGoサインを出せないだろう。このような情報を、どこが主体となって出していくべきなのか。CPUベンダーか、ボックスメーカーか、それともOSベンダーか。あるいはユーザーコミュニティか?

 このような技術的な転換期には、今のオープンソース市場が持っている若干の曖昧さもまた浮き彫りになってくる感じがするが、これもまた時間とともに解決されるだろう。私もそのような流れに協力していければと思っている。

 いや、単に使ってみたいだけなんですけどね(笑)「こういう好奇心が大事なんだよ」などと勝手に理由をつけてしまっていますが、もう少し価格がこなれてきたら、一台入手してみたいと考えています。なにやらまとまりがない終わりになってしまいましたが、今後の動向に注目していきたいと考えています。

[宮原 徹,びぎねっと]