エンタープライズ:ニュース | 2003/06/03 22:29:00 更新 |
Microsoft、製品ロードマップを披露
MicrosoftはTechEdで、2006年までの各種サーバソフト投入計画の概略を示した。「Yukon」のリリースは2004年前半ではなく後半にずれ込むこととなった。(IDG)
米ダラスで開催のTechEd 2003で6月2日午前、Microsoft幹部は、競争優位を築く上でITはいまだ不可欠の存在だと強調した。またWebサービスの重要性を売り込み、製品ロードマップを披露した。
ロードマップの説明の中で同社は、データベースソフトの新版「Yukon」のリリースが予定よりずれ込むことを明らかにした。
同社Windows Server事業部上級副社長のポール・フレスナー氏は、ITを誰もが手に入れた今、ITで競争優位を築くことはできなくなったとする最近の報道への反対意見を述べた。
「われわれが毎日取り組んでいる仕事は、ITの前進を加速するためのものだ」と同氏。
同氏はMicrosoftもITの「複雑さの危機」の中にいると認めつつも、Webサービスのほか、Windows Server 2003などの自社製品群を、コンピューティングの次の波を生み出すものとして紹介した。
「われわれは導入から開発、および運用面で、もっとコスト効率を高める方法を見つけ出す必要がある」。
同氏は、Webサービスはアプリケーションインフラに対する標準アプローチになると強調、「これこそ正しいやり方だ。業界にとっての正しい道だ。アプリケーションを長期にわたって有用なものにする適切な手段だ。これを正しく進めれば、投資費用を削減することができる」と述べた。
同氏は、必ずしもすべてのシステムがMicrosoftのソフトウェアに基づいたものになるわけではないと認め、Microsoftは他社プラットフォームとの統合をサポートしていくと語った。「Webサービスに接続してほしい。私はこれを、業界全体にとって必要なことだと考えている。願わくばMicrosoftのプラットフォームと.NETを使っていただきたいが」と同氏。
TechEd参加者の1人、Baptist Health SystemでLANネットワーキングサービスのネットワークアナリストを務めるロジャー・ワード氏は、ITで差別化を図ることはいまだに可能だというMicrosoftの主張に賛同している。同氏の勤務先はWindowsとNetWare上でWebサービスに対応していく意向。「そういう形で実装しようとしている」と同氏。
だがBaptist Health SystemはWindows NT4.0から、最近リリースされたWindows Server 2003ではなく、Windows 2000 Serverへのアップグレードを予定している。同氏はその理由を、現時点ではWindows 2000 Serverの方がより安定しているためだと説明した。
フレスナー氏は、Windowsプラットフォームを基盤とするMicrosoftのソリューションに関し、IDの統一やXML、アプリケーション開発などさまざまな側面から詳細を語った。Microsoftは「Windows Server System」を、Windows Server 2003の土台のITプラットフォームとして位置付けているという。
同氏はMicrosoft製品群のロードマップを簡単に紹介、その中で、コードネームでYukonと呼ばれるSQL Server次期バージョンの遅れを認めた。Yukonは2004年前半の登場の予定だったが、現時点では2004年後半にリリースされる見通し。
2日のその後のインタビューでMicrosoft SQL Server製品管理ディレクターのスタン・ソレンセン氏が説明したところによると、Yukonのリリース延期は品質保証のためだが、これによってMicrosoftはデータベースと開発ツールの両方でのCommon Language Runtime(CLR)搭載計画を同期させることができるという。CLRはコンポーネントとアプリケーションの設計を簡易化して、アプリケーション間でオブジェクトの相互動作を実現するもの。Yukonではまた、ビジネスインテリジェンスやセキュリティなどの面での改良が施される見通しだ。
Yukonのプライベートβ版は選ばれた1000人のユーザーに向けて今月中にリリースされる。より大規模なパブリックβテストは2004年に実施する計画となっている。
フレスナー氏によると、Exchange Server 2003のリリース候補第1版(RC1)はTechEdで2日にリリースされた。Exchange Server 2003は、ワイヤレスデバイスのサポートや、HTTP経由のダイレクトアクセスなどを特徴とする。同ソフトは今年か来年に正式リリースされる予定。
同社はTechEdで、BizTalk Server 2004のβ版リリースも発表した。加えて、eビジネススイートのJupiterとSharePoint Portal Server Ver.3が2005年に登場の見通し。Jupiterは、BizTalk Server統合システムとContent Management Server、Commerce Serverを合体したもの。
また開発ツールVisual Studioの新版で、コードネームで「Whidbey」と呼ばれているものも、今年か来年にリリースされる。WhidbeyはYukonとの統合と統合開発環境(IDE)としての生産性向上を特徴とし、XML WebサービスとOfficeプログラミング機能への対応を強化する。
その後に続くVisual Studioのバージョンはコードネームで「Orcas」と呼ばれており、2005年登場の見通し。Orcasは、Winodws XPの後継OSとして2005年登場予定のLonghornに対応したものとなる。
Microsoftはさらに2006年に、Windows Serverの次世代版をリリースする計画で、これはSQL Serverを補完するものとなる。またExchangeの新版「Kodiak」も2006年に登場の予定。WebサービスとSQL Serverに対応したKodiakは、Visual Studio内部で自動的にサポートされる。
TechEdではほかにも、SQL Server 2000 Reporting Servicesが発表された。これはSQL Serverでビジネスインテリジェンスに基づいてWebベースもしくは紙のレポートを作成するためのもの。このソフトは年内出荷の見通しとなっている。
さらに今回のTechEdでは、Borland SoftwareがMicrosoftとの合意を発表した。SQL Server 2000 Developer Editionを、Borland C#Builder for the Microsoft .NET Frameworkと共に出荷する。合意の一環としてMicrosoftは、開発者がC#Builderについての情報を得られるように、自社のSQL ServerのWebサイト内にBorlandのためのページを設けるという。
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関連リンク
Microsoft Tech・ED 2003 Report
[Paul Krill,IDG News Service]
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