エンタープライズ:ニュース 2003/06/10 17:50:00 更新


ルータめぐる訴訟でCiscoが一時差止命令を勝ち取る

 Cisco Systemsが中国のルータメーカーHuawei Technologiesを相手取り起こしていた訴訟で、当該ソフトウェアの開発・配付を禁じる一時差止命令がHuaweiに下された。(IDG)

 Cisco Systemsに関連したソフトウェアとマニュアルを中国のルータベンダーであるHuawei Technologies(華為技術)とその関連2社が配付することと、このソフトウェアをよく知る従業員が類似のソフトウェアを開発することを一時的に差し止めする裁定が連邦地裁の判事により下された。

 Ciscoは今年1月、3社がCiscoのソフトウェアを複製かつ不正使用し、CiscoのマニュアルをコピーしてCiscoの保有する特許を侵害したとして、Huawei、Huawei America、FutureWeiの3社に対する訴訟を起こした。Huaweiは中国・深センに本社を置き、エンタープライズおよびサービスプロバイダー向けのルータの世界市場においてCiscoと競合しており、米国市場には参入したばかり。

 この暫定的差止命令は米テキサス州東部地区連邦地裁のT・ジョン・ウォード判事により下されたが、これで訴訟が終了するわけではなく、Cisco側の訴状内容を検討する間、Huawei側の行動に制限を加えるものである。

 差止命令により、Huaweiは以下の3点を順守する必要がある:

  • CiscoのEIGRP (Enhanced Interior Gateway Routing Protocol) ソースコードの一部を含むか由来するいかなるオペレーティングシステムも、全世界で販売、使用することはできない
  • EIGRPで作業をしたいかなる従業員も、HuaweiのVRP (Versatile Route Platform) ソフトウェアの同等機能の開発に従事することはできない
  • Ciscoのマニュアルまたはヘルプファイルをコピーしたもの、または相当の類似性を持つマニュアルおよびヘルプファイルを米国内で配付することができない

 両社ともにこの差止命令を歓迎している。

 「この裁定は、Ciscoの知的所有権に対するHuaweiによる尋常でないあからさまな複製行為には、尋常でない改善方法が必要だと法廷が判断したということだ」とCiscoは同社副社長兼相談役のマーク・チャンドラー氏記名による発表文の中で述べている。この裁判の次の段階として、Cisco側ではHuaweiのソースコードを調査し、複製行為の全貌を明らかにすることを期待すると、発表文には書かれている。

 Huaweiは、この裁定により適用範囲が絞られ、過去の製品のみが対象になったと述べている。

 「暫定的差止命令は、これらの製品の新バージョンについては対象としていない。CiscoがHuaweiに対して訴訟を起こす前に、Huaweiでは誠意のある努力をし、差止命令の対象となった製品を米国市場から自発的に引き上げている」とHuaweiは発表文の中で述べている。

 「Ciscoが要求していた範囲は非常に広いものだった。Ciscoの要求と比べると、今回の裁定は非常に狭い範囲のもの。Huaweiはこの結果に満足している。HuaweiはCiscoとぶつかる意志はなく、彼らが争点となっている製品を市場から排除するための行動をとっているということを理解しているからだ。」とHuawei AmericaのPR会社の担当者、スーザン・エトリンガー氏は話す。

 争点となっている製品はすでに米国での販売を停止していると、Huaweiの企業コミュニケーション担当ディレクター、Fu Jin氏。

 「昨年末までに、われわれは米国市場で製品の販売を停止している」と同氏。

 中国と日本におけるHuaweiのエンタープライズ向けルータ製品は、3Comとの合弁会社を通して販売される予定。

 問題の製品の後継となる、Huaweiのオペレーティングソフトウェアの新バージョンが組み込まれた企業向けルータは、3Comとの合弁会社を通して販売される予定とFu氏。

 「この製品の新バージョン発売に関しては本件の影響を受けることはない。新バージョンにはEIGRPが入っていないからだ」と同氏は述べた。

追加取材協力:Peter Sayer

[Stephen Lawson,IDG News Service]

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