エンタープライズ:ニュース 2003/06/30 00:00:00 更新

より包括的なセキュリティソリューションを披露
Networld+Interop Tokyoでベールを脱ぐノキアの新製品群

ブロードバンド接続の普及は多くのメリットをもたらしたが、同時に、ウイルスや不正アクセス、侵入の危険性も高まっている。こうした状況において、適切なセキュリティ対策を実現しながら、運用管理の手間を削減するのがノキアのセキュリティソリューションだ。

 今となっては嘘のような話だが、かつてNetworld+Interop Tokyoの会場と外部インターネットを接続するエクスターナル(外部)接続に、T1(1.5Mbps)の回線が複数用いられたときには、その高速さが謳われたものだった。しかしブロードバンド接続が広く普及した今では、1.5Mbpsはむしろ「低速」の部類に入る。ADSLでも12Mbpsや24Mbpsでの接続サービスが登場し、しかもその先には100MbpsのFTTHが控えている。

 こうしたブロードバンド接続の普及によって、自宅でインターネットを利用する個人も、そして企業もさまざまな恩恵を蒙っている。だが同時に、数年前にはあまり考える必要のなかった新たな問題が浮上してきた。その代表例がセキュリティだ。

 ネットワークインフラの整備は、広くユーザーに便利な環境を提供しているのだが、同時に、攻撃を仕掛ける側にも利をもたらす結果になった。ブロードバンド回線を通じて多様なユーザーがインターネットを利用するようになった今、ウイルスや不正アクセス、侵入の危険性も高まっている。数年前とは異なり、インターネットを利用するのにセキュリティを考慮しないわけにはいかない。

 このことは、Networld+Interop Tokyoの展示やインフラネットワークであるShowNetにも反映されている。例えば今年は「Security ShowCase」というセキュリティ専門のエリアが新設される予定だ。またShowNetでは、自身を守るとともに、出展社各社にマネージド型のセキュリティサービスを提供するSecurity Operation Center(SOC)が設置される。ここを拠点として会場全体のネットワークセキュリティを実現するとともに、さまざまなセキュリティソリューションの姿を来場者にライブで見せていく予定だ。

3タイプの新製品が登場

 サポーターとして、このSOCにファイアウォール/VPNアプライアンス「IPシリーズ」などを提供しているのがノキア(ノキア・インターネット・コミュニケーションズ)だ。

 ノキアはまた、会場の自社ブースにて、「Connecting Securly」をコンセプトとした幅広いセキュリティソリューションを紹介していく計画である。これまで披露される機会の少なかったIPv6対応のセキュリティ製品群も登場し、実際にデモンストレーションが行われる予定だ。

 ノキアは今回、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズとの協業と独自OS「IPSO」でお馴染みのIPシリーズだけでなく、複数の新製品を紹介する計画だ。その1つが、つい先週リリースされたばかりのメッセージング・セキュリティ製品「Message Protector」で、一般に公開されるのはこれが初めてのことになる。

 Message Protectorは、同社とトレンドマイクロの協業によって生み出されたアプライアンス製品だ。ネットワークのゲートウェイ部に配置され、ウイルスの検出、削除およびコンテンツフィルタリングやスパムのブロックなど、多様なメッセージングセキュリティ機能を提供する。アプライアンスだけあって運用、管理が容易なこと、企業ネットワークで利用するにも十分なパフォーマンスを実現していることなどが特徴だ。

 このアプライアンスでは全7層からなるアーキテクチャによって効率的に、かつ徹底的にウイルスやスパムメールを排除し、システムを保護することができる。ノキアはこれまで、IPシリーズを通じてネットワークレベルでのセキュリティを実現してきたわけだが、Message Protectorはより高いレイヤーでの、つまりアプリケーションレベルでのセキュリティを実現する。

 ブロードバンドの普及にともない、ワームやウイルスの感染速度がスピードアップし、新種のウイルスがまたたく間に世界中に蔓延するようになった。また米国では、スパムメールが社会問題化し、システムのリソースに与える負荷という意味でも、従業員の生産性に差し障るという意味でも、効率的なスパムメールの排除が課題となっている。Message Protectorはそうした被害を防ぎ、企業にとってはもはや必須のインフラともいえる電子メールを安全に、確実に利用できるよう支援してくれる。

Webサービスにセキュリティを提供

 2つめは、米国では発表済みの新タイプのVPN製品「Nokia Secure Access System」である。IPシリーズではIPSecを用いて暗号化通信を行うのに対し、Nokia Secure Access Systemでは、標準的なブラウザがサポートしているSSLを利用し、少ない管理負担でセキュアな通信を実現する。今年に入ってにわかに活気付いているSSL-VPN製品の一種といえるだろう。

 同社のカントリージェネラルマネージャ、柳下幹夫氏は、この製品によって「家でも外出先でもどこからでも、どういう手段でアクセスしていても、オフィスにいるのと同じようなアクセスを簡単に実現できる」と述べる。

 これまではコンセプト止まりだったWebサービスだが、ブロードバンド接続の普及によっていよいよ現実のものとなってきた。柳下氏はこの事実を踏まえ、今年こそ、そうしたWebサービスにセキュリティを提供する「SSLベースのVPNソリューションの元年になる」と予測している。なおこの製品の詳細は、展示会初日の7月2日に明らかにされる予定だ。

 最後はお馴染みのIPシリーズで、ラインナップの強化が予定されている。まず、これまで最もハイエンドに位置付けられていた「IP740」を上回るパフォーマンスを実現するフラグシップ機がリリースされる予定だ。ますます広帯域化が進むネットワークインフラへの対応を図ったもので、これまで同様信頼性の高いアーキテクチャをベースに、かなりの高速化を実現する見込みだ。これと同時に、ローエンド製品についても強化が図られるという。これらもまだ詳細は明らかにされていないが、会場ではその姿を確認できるはずだ。

 ノキアでは一連のセキュリティ製品群に加え、携帯電話やBluetoothなどモバイル分野での強みを生かしながら、ワイヤード、ワイヤレスの両分野を包括したエンタープライズ向けセキュリティソリューションを展開していく。Networld+Interopの同社ブースでは、その一端を垣間見ることができるだろう。

関連リンク
▼ノキア

[ITmedia]