エンタープライズ:ニュース 2003/07/02 09:57:00 更新


メトロイーサネットは「成熟した技術」に、業界団体がテスト機関を設立

NetWorld+Interop 2003 Tokyoに合わせて来日した米Metro Ethernet Forumのプレジデントを務めるナン・チェン氏は、メトロイーサネットは成熟した技術であり、収益を生み出すサービスになりつつあると述べる。

「イーサネットはトランスポート技術であると同時に、収益を生み出すサービスになりつつある」――NetWorld+Interop 2003 Tokyoに合わせて来日した米Metro Ethernet Forumのプレジデントを務めるナン・チェン氏はこのように語る。

 Metro Ethernet Forumは、メトロエリアでキャリアクラスの品質を備えたイーサネットサービスを実現することを目的に、2001年に設立された業界団体だ。現在では機器メーカーやインターネットサービスプロバイダー(ISP)、キャリアなど69社が参加しており、その中にはNECやKDDI研究所、クロスウェイブコミュニケーションズといった日本の企業も含まれている。

 チェン氏は7月2日に行われるスペシャルセッション「メトロイーサーネットは、SONETを駆逐するか?」に、江崎浩氏(東京大学大学院情報理工学系研究科助教授)らとともに参加し、メトロイーサネットの今後の動向について語る予定だ。

メトロイーサネットは「成熟した技術」に

 同フォーラムでは、イーサネットネイティブなサービスおよびキャリア並みの信頼性や品質を備えたイーサネットベースのサービスの定義と、その実現に必要となる各種技術の提案、検討に取り組んできた。同様の技術的検討は、IETFやIEEEなど他の標準化団体も進めるところだが、「サービスという視点から取り組んでいるのはわれわれだけ」(チェン氏)。このアプローチによって、サービスとトランスポートの両面にわたり、技術的なギャップを埋めていくという。

 今年6月に米国アトランタで開催された展示会「SuperComm 2003」では、メンバー企業28社が参加し、イーサネットサービスの相互接続性検証デモンストレーションを行った。このデモでは、ポイント-ポイント型(専用線型)の「E-LINE」サービスと、マルチポイント-マルチポイント型の「E-LAN」サービスの双方について検証。この結果、「イーサネットサービスの相互接続性が実証できただけでなく、メトロイーサネット技術は、実サービスに十分なレベルにまで達した成熟した技術であることが示された」とチェン氏は語る。

 さらに、今回のNetWorld+Interop 2003 Tokyoに合わせ、同フォーラムは専用テスト機関の設立を発表した。ここでは、メトロイーサネットサービスの標準に準拠しているかどうかを確認するとともに、パフォーマンスを検証するためのテストが提供されるという。

 同フォーラムが設立された2001年は、インターネットバブルが弾け、多くのキャリアが過剰投資に頭を悩ませ、業界全体が低迷した時期だった。しかしチェン氏は、メトロイーサネットサービスの将来に確信を抱いているという。同氏はガートナーの調査結果を引き合いに出し、メトロイーサネットサービス市場は2005年までに140億ドル規模に成長するだろうとした。

 Metro Ethernet Forumはこれまで、サービスやプロトコル、管理といった各分科会ごとに検討を重ねてきた。ここで特に焦点となっているのは、サービスそのものの定義とともに、SONET/SDHなみの冗長性の確保やエンドツーエンドでのQoS、多重化といったテクノロジだ。同時に、複数のキャリア間でどのようにSLAをやり取りするのか、エンドツーエンドの管理をどう実現するかも課題に挙げられている。これとともに、サービスを牽引するキラーアプリケーションの存在も不可欠だろう。

 いずれにせよ、サービス自身もキャリアクラスの拡張性や信頼性を備える必要がある。それが実現されれば、イーサネットは名実ともに、メトロエリアにおける標準テクノロジとなるだろうとチェン氏は述べている。

関連リンク
▼Metro Ethernet Forum
▼NetWorld+Interop 2003 Tokyo

[高橋睦美,ITmedia]