エンタープライズ:ニュース 2003/07/04 10:24:00 更新


Trapezeが日本上陸、無線スイッチ製品を展開

米Trapeze Networksは無線LAN環境と既存のLANの両方にまたがってアクセス制御やポリシーコントロールを実現する「Trapeze Mobility System」を発表。高千穂交易と代理店契約を結び、日本市場に参入した。

 米Trapeze Networks(トラピーズ・ネットワークス)はNetWorld+Interop 2003 Tokyoに合わせ、無線LAN環境と既存のLANの両方にまたがってアクセス制御やポリシーコントロールを実現する「Trapeze Mobility System」を発表、日本市場へ参入した。

 Trapeze Mobility Systemは、いわゆるワイヤレススイッチ(無線スイッチ)に分類される製品の1つだ。無線LANアクセスポイントを収容するスイッチと、バックエンドにあるRADIUSなどの認証サーバとが連携してユーザー認証を行い、それに基づいてアクセス制御や優先制御などのポリシー適用、ローミングといった処理を実現する。

 Trapeze Mobility Systemを構成する要素は4種類ある。まず、レイヤ2スイッチとして機能するとともに802.1xなどの認証処理をオフロードする「Mobility Exchange」、無線LANアクセスポイントとポリシー適用の役割を果たす「Mobility Point」という2種類のハードウェアがある。さらにソフトウェアとして、建物の構造やユーザー数に基づいてMobility Pointの適切な配置場所を自動的に割り出す「RingMaster」、このRingMasterと連携しながらMobility ExchangeとMobility Pointを一元的に管理する「Mobility System Software」も含まれる。

 一連のツールを組み合わせることで、ネットワーク全体にわたって、ユーザーIDに基づいた一元的なセキュリティ管理とローミングが可能になると同社は説明する。これまで企業の無線LAN導入においては、セキュリティや管理が不十分にしか実現できないことがネックとなっていたが、同システムはこの問題を解消するという。

 しかも、今あるネットワークやクライアントに変更を加える必要はない。「既存のサブネット構造やVLAN、アクセスコントロールリストなどをそのまま活用し、ワイヤードとワイヤレスの世界をシームレスに統合できる」と、米Trapezeのワールドワイドマーケティング担当上級副社長、ジョージ・プローダン氏は述べた。

プローダン氏とフラッシュ氏

「この市場には大きなチャンスがある」というフラッシュ氏とプローダン氏

 プローダン氏はさらに、Mobility Exchangeが認証処理をオフロードするため、接続に要する時間が短縮できること、複数のMobility Exchange間でユーザー情報やポリシーを共有することで、IPSecやVoIPなどのセッションを維持しながら、すばやいローミングが行えることも、Trapeze Mobility Systemの特徴として挙げた。数千ユーザー規模の企業でも利用できる拡張性も備えているという。

設置場所の決定から設定ファイルの配布まで支援

 だが最もユニークなツールは、無線LANの立案、導入およびその後の管理を支援するRingMasterだろう。

 「ケーブルのついていない無線LANでは、計画立案と管理はとても重要だ」(プローダン氏)。RingMasterでは、CADファイルやVisioなどからインポートした建物の図面に、利用予定のユーザー数や割り当て帯域、さらに建物の材質や電源などといったパラメータを加えることで、Mobility ExchangeとMobility Pointの適切な配置場所を自動的に示してくれる。その上、このプランに基づいたチャネルや無線出力などの設定ファイルをプッシュ形式で配布し、管理するところまでもサポートする。この結果、導入までの作業をスムーズに行えるだけでなく、不正な無線LANアクセスポイントの検出も容易になるという。

 Trapeze Mobility Systemは802.11a/bに対応した無線LANクライアントから利用でき、802.11gのサポートも予定している。問題はアクセスポイントだ。既に導入済みのサードパーティ製アクセスポイントがある場合、「利用はできるが、認証や優先制御といった高度な機能は使えない」(プローダン氏)。ただ、同社CEO兼社長のジム・フラッシュ氏によると、一連の機能を利用できるようにするインタフェースの実装に向けて、いくつかのメーカーと話し合いを進めているという。

 無線LAN環境のセキュリティや管理の確保に向けて、これまで多くの製品が投入されてきた。その代表的なものが、無線LANゲートウェイ型のアプライアンスだ。しかしフラッシュ氏は、「ゲートウェイ型アプライアンスは単一の機能しか提供できない。無線スイッチのほうが急速に成長するのは明らかだ」と述べている。

CTC-SP

実は会場内、CTC-SPのブースで紹介されていたTrapeze Mobility System。代理店契約については「検討中」という

 Trapezeは日本市場進出に当たり、高千穂交易と代理店契約を結んだ。Trapeze Mobility Systemの販売価格はまだ検討中だが、米国ではMobility Pointを2個含んだスターターキットが9500ドルという。

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▼ワイヤレス・ゲートウェイ対ワイヤレス・スイッチ
▼NetWorld+Interop 2003 Tokyoレポート

関連リンク
▼Trapeze Networks
▼高千穂交易
▼NetWorld+Interop 2003 Tokyo

[高橋睦美,ITmedia]