エンタープライズ:ニュース 2003/07/30 21:45:00 更新


Office Systemの情報共有の要、刷新されたSharePointテクノロジーの位置付け

「情報の玄関だけではない」。Office SharePoint Server 2003を担当するマイクロソフトの昇塚淑子シニアプロダクトマネジャーは、7月30日のOffice Systemテクニカルセミナーで、SharePoint Server 2003の特徴を紹介した。

 10月にも発売されるとみられる次期Officeでは、従来までのデスクトップアプリケーションパッケージから“システムとしての連携”をキーワードに、サーバ製品もOfficeの冠を戴いた。Office Systemは、個人の生産性から組織の生産性向上に向けた製品群を目指している。

 その中で、情報共有とドキュメントのコラボレーション機能を担うのがSharePointテクノロジーだ。Office SharePoint Server 2003は、Windows Server 2003の標準コンポーネント「Windows SharePoint Services」(WSS)をWebサイト構築エンジンに、企業レベルの情報ポータルを構築・運用する機能を提供する。

 SharePoint Server 2003の基盤技術となるWSSは、従来「SharePoint Team Services」(STS)と呼ばれていた機能を.NETベースに移行したもの。ASP.NETで作られたWebパーツを、提供されるひな形に割り付けていくことで、カスタマイズされたチーム共有サイトの構築を可能にする。Office 2003のアプリケーションと密接に連携しており、Officeアプリケーション上から直接、共有の文書管理ワークスペースなどを容易に作成できるのを大きな特徴としている。

 だが、「大規模な企業レベルの情報共有に向いているとはいえない」(昇塚氏)。Windows Server 2003のWSSを活用することで、チームの迅速かつ小回りの効いた情報共有を実現できるが、WSSでは構築したチームサイト同士を連携することができないという。そこで、WSSのチームサイトを束ね、複数チームサイトの管理機能を提供するのが、SharePoint Server 2003になる。

 その機能は、チームサイトの連携だけではない。個人レベルの効率的な仕事環境も提供する。昇塚氏は、「ポータルというと、組織レベルで情報が蓄積され、閲覧できるだけのものと捉えられがち。しかしSharePoint Server 2003は、情報の玄関としての機能だけでなく、チームや個人が働く仕事環境を作るのが役割」と、ユーザーごとにカスタマイズできる個人用サイト機能を強化ポイントとして挙げた。

 「Exchange 2000 Server」や「Exchange Server 2003」と連携するWebパーツを個人用サイトに割り付ければ、電子メールの受信ボックスや予定表などをチェックできるし、仕事に必要な情報のリンク集などオリジナルのサイトを作ることができる。

 そのほかにも、SharePoint Server 2003は現バージョンの2001に比べ、全般的な機能の底上げが図られている。価格やライセンス形態は未定だが、SharePoint Server 2001と同程度の1サーバあたり70万〜80万円を見込んでいる。

 また、Office XPなど現行バージョン以前のOffice製品からWSSを利用できるようにするアドインなどを提供する予定はなく、Officeとの連携という点ではOffice 2003に注力する製品になるという。

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[堀 哲也,ITmedia]