エンタープライズ:ニュース 2003/08/04 19:30:00 更新


レガシー依存度の高い分野がターゲット、日本HPとマイクロソフトがミッションクリティカル分野で協業

日本HPとマイクロソフトは、米HPと米Microsoftのグローバル提携に基づき、国内におけるミッションクリティカル分野で協業した。

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)とマイクロソフトは8月4日、共同で記者会見を開き、国内のミッションクリティカルシステム分野における包括提携に合意したと発表した。Windows Server 2003をはじめとする.NET対応プラットフォームとHPのIAサーバの組み合わせで、メインフレームが中心のレガシーシステムから、オープンシステムへの置き換えを促す。

 今回の発表は、2002年9月に米HPと米Microsoftとの間で交わされたグローバル提携に基づくもの。同提携では、.NETソリューションに対する顧客の要求に応えるため、両社合わせて5000万ドルを超える投資を行うほか、両社で専任チームを編成して対応することなどで合意していた。国内では約1年遅れての発表となったが、「日本向けにうまく適用させるために検討していた」(マイクロソフト社長マイケル・ローディング氏)。

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左から日本HP 河合 聰HPサービス事業統括副社長、日本HP 樋口泰行社長、マイクロソフト マイケル・ローディング社長、マイクロソフト 平井康文エンタープライズビジネス担当取締役


 協業の範囲は、「マーケティング」「プリセールス」「設計・構築」「保守・運用」とシステムのライフサイクル全体に及ぶ。マーケティングフェーズにおいては、すでにジョイントセミナーなど協業が開始されているが、そのほか共同でシナリオ作成なども行う。プリセールス段階においては、「Windowsテクニカルセンタ」や「Itaniumソリューションセンタ」を通じて、R&Dを含む検証・評価作業で協働。設計・構築フェーズでは、両社のコンサルタントが共同設計を行う――と、フェーズごとに両社が綿密に連携できる体制を固めた。

 日本市場における協業の特徴となるのが、同日設立発表されたサポートフェーズを担う「ジョイント・ミッション・クリティカル・サポート・センター」(JMCSC)。サポートに対する要求の厳しい日本市場に対応するために設置された。日本HP荻窪事業所に設けられた同センターには、マイクロソフトのエンジニアも常駐する、両社にとって初の試みになるという。当初は十数名規模でのスタートだが、9月までには50名体制に強化して、本格稼動させる。

 JMCSCでは、24時間365日のサポートサービスのほか、システムのリモート監視を実施、障害の発生を未然に防ぐプロアクティブなサービスを提供する拠点となる。JMCSCからは、マイクロソフトおよび米Microsoftのテクニカル・サポート・センターへエスカレーションさせる仕組みも構築した。

 また、日本HPのサポートエンジニアを米Microsoftのテクニカル・サポート・センターに派遣する試みも行う予定で、さらなるサポートサービスの強化を目指していく。

 協業においては、ITインフラとビジネスソリューションにおける11個のソリューションと広範に提供する予定だが、まずは「Windows NT 4.0マイグレーション」「Windowsネットワークコンソリデーション」「エンタープライズポータル」「.NET対応基幹アプリケーション」の5個に注力する。

 日本HPでは、ミッションクリティカル分野において、3年後にはWindowsがHP-UXの売り上げと並ぶ規模にまでに成長させようとしており、今回の協業は「売り上げの柱」になるとにらむ。マイクロソフトのマイケル・ローディング社長も、今回の協業は「(マイクロソフトにとっても)大きなインパクトになるのは間違いない」と述べた。

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[堀 哲也,ITmedia]