エンタープライズ:ケーススタディ 2003/08/07 20:37:00 更新


三共が業務改革にSAP R/3を採用、9社共同運営で年200億円のコスト削減を目指す

製薬業の三共が中期経営計画達成に向けた経営改革の一環として、生産、販売、人事、経理などの業務を統括的に管理する統合基幹業務システムとして、SAP R/3を採用したと発表した。9社が共同で導入運営に当たった

 イキソスソフトウェア、イーエムシー ジャパン、SAPジャパン、デルコンピュータ、東洋ビジネスエンジニアリング、NEC、日本ユニシス、日立製作所、マイクロソフトの9社は8月6日、製薬業の三共が中期経営計画達成に向けた経営改革の一環として、生産、販売、人事、経理などの業務を統括的に管理する統合基幹業務システムとして、SAP R/3を採用したと発表した。9社は共同で導入運営に当たったことも併せて明らかにしている。

 国際競争が進む製薬業界では、新薬の創出に向けた研究開発費の増大や薬価引き下げなど、各社とも収益を圧迫する厳しい事業環境に置かれているという。そこで、三共は2001年7月に業務改革本部を発足し、コスト削減とともに、業務全体の流れの抜本的見直しに取り組んだ。

 今回の統合情報システムは、サプライチェーン、会計、人事の3領域で16のSAP R/3モジュールと12の外郭システムを導入にした。業務改革計画および実行支援をアクセンチュアが行い、システム導入サポートは主にSAPが担当したという。さらに、サプライチェーン領域をB-EN-Gが担当、また基盤面及び製造業務の支援には日立、技術基盤としてはマイクロソフトのWindows 2000 Datacenter Server、Microsoft SQL Sever 2000が全面的に採用された。

 さらに、ハードウェアには、データベースサーバに日本ユニシス、Webサーバなどはデル、ストレージにはEMC、アーカイブにはイキソスの製品が採用されている。カットオーバー後の運用保守はNECに全面的アウトソースを行っている。

 三共は、今回のSAP R/3および関連システム導入によって、部門ごとに40以上あった業務システムを統合し、単一システムのように運用できるようになった。同じデータを別々の部門で都度入力するといった手間もなくなり、業務の効率化が進んだという。

 また、生産や在庫に関する最新データも全社で共有できるようになったため、生産計画の細かな調整も可能になり、生産計画のサイクルをこれまでの月単位から旬(10日)単位に短縮した。これにより、資材調達や在庫状況に応じた生産計画の立案も効率化されたという。結果的には、在庫の適正化によるコスト削減を実現できるとしている。

 同社は、業務改革の取り組みにより年間200億円以上のコスト削減を目標にしている。さらに、ERPを経営力アップにつなげるため、業績管理、意思決定スピードの向上に最大限に活用したい考えとしている。

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