エンタープライズ:ニュース 2003/08/22 14:38:00 更新


メッセージング・セキュリティ・サービスへの企業ニーズが高まる

スパム対策を行うサービス会社が急激に規模を拡大している。企業によるニーズが増しているためだ。(IDG)

 昨年12月、スパム・フィルタリング・サービスと契約した後、法律事務所のGray Caryでは66万1000通の受信メッセージのうち47%をブロックした。先月にはエンドユーザーのメールボックスに届いた110万通のメッセージのうち65%がブロックされたという。

 スパムの量は減少する兆候を見せておらず、Gray Caryは強固なスパム対策システムを設置せざるをえなかったと同社最高技術責任者のドン・ジェイコックス氏は述べた。

 「いつも不平を聞かされてばかりだったが、もう不平は聞きたくない」と同氏。

 Gray Caryのスパム対策はFrontBridge Technologiesが提供した。FrontBridge Technologiesはメッセージング・セキュリティ・サービスの提供会社で、先週、ベンチャーキャピタルから800万ドルの資金提供を受けたと発表した。

 猛威を振るうスパム、蔓延するウイルスにより多くの企業にとって電子メール管理は大きな壁となっており、それがベンダーにとっては大鉱脈となっている。PricewaterhouseCoopersでベンチャーキャピタル調査の国内担当ディレクターであるカーク・ウォルデン氏によれば、この1年半で電子メール管理会社に投資された額は1億2500万ドルに上るといい、その多くがスパム問題に対応するためだとしている。

 FrontBridgeに対する最新の投資はBA Venture PartnersとSierra Venturesによるもので、3年間に1800万ドルを集めている。同社は1999年に創業し、サービスの提供を始めたのが2年前。FrontBridgeは有償顧客は約700社(サービス料金はユーザー1人当たり18ドル)で、各社のユーザー数は100人から10万人だというだと発表している。

 同社は販売チームとデータセンターのネットワークを拡大するために新たな資金を利用する計画だ。データセンターは米国内に7カ所持っており、顧客のネットワーク内で電子メールを遮断し、正しいメッセージであることを確認(同社のウイルス対策サービスを利用すればウイルスも除去されている)してからフォワードする。新しいデータセンターはロンドンとシンガポールに設置される。

 FrontBridgeはスパムをフィルタリングするためにさまざまな手法を使っている。独自のブラックリスト、ルールベースのスコアリング、全顧客ベースでフィルタリングされたメールに基づいたスパム特定のための「指紋」技術が使われている。顧客はコンソールソフトウェアを使って自分たちのスパム状況を調べ、報告を読むことができる。

 同社によれば、25万通の正しいメッセージのうち、誤ってスパムとしてフィルターされたものはわずか1通に過ぎないという。ジェイコックス氏によれば、法律事務所は顧客とのコミュニケーションを中途半端なものにできないので、これはよいことだと述べている。

 「われわれは偽陽性を恐れている」と同氏。「法務のビジネスはここ5年間で多くの仕事が電子メールを通して行われるように変わってきている」とジェイコックス氏は説明する。

 業界観測筋によれば、スパム対策サービスおよび製品は急速に一般化すると述べている。FrontBridge以外のベンダーとしては、Brightmail、MailFrontier、Postiniがある。

 FrontBridgeのような企業はウイルス対策、災害復旧サービスにも手を伸ばしており、引き続き成功を収める可能性があると、コンサルティング会社のDelphi Groupで、上級アナリスト兼情報システムディレクターを務めるダン・ケルドセン氏は予想する。同社はFrontBridgeのサービスを使い始めて10カ月になる。

 「スパム対策は多くの選択肢があり、みんなはさまざまな対策を試みている」と同氏。「最初に聞いたサービスが捻出できる程度のものであれば、それを使っているのだ」と同氏は述べた。

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[Bob Brown,IDG News Service]

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