エンタープライズ:ニュース 2003/10/01 10:58:00 更新


SSL-VPNの市場拡大にらみ米Neoterisが日本法人を設立

米Neoterisは日本支社としてネオテリス・ジャパンを設立した。同社によるとSSL-VPN市場は今後急激に成長し、数年のうちにIPSec-VPNを抜き去るという。

 SSL-VPNアプライアンスの開発、販売を行っている米Neoterisは、9月30日、日本支社としてネオテリス・ジャパンを設立したことを明らかにした。これまでもマクニカ、高千穂交易などの販売代理店経由で、評価導入も含め約50社への導入実績があるが、今後のSSL-VPN市場のさらなる拡大に備え、販売・サポート体制を強化する。

 最近ではセキュリティ市場の一分野として認知されるようになったSSL-VPNは、標準的なWebブラウザが実装しているSSLを利用して、出張先や自宅などから安全なリモートアクセスを実現するというもの。同じように安全なリモートアクセスの手段として利用されているIPSec-VPNに対し、クライアントのインストール・メンテナンスが不要なこと、その結果として運用コストの削減が図れることなどが特徴だ。

 ただしSSL-VPNにも弱みはある。その1つが、対応アプリケーションの幅広さだ。IPSec-VPNでは、経路ごと暗号化することにより、実質すべてのアプリケーションが利用できるのに対し、SSL-VPNでは当初、WebベースのアプリケーションやLotus Notes、Microsoft Exchangeといった代表的なグループウェアしか利用できないことが多かった。しかし米Neoterisの社長兼CEOを務めるクリシュナ・コルーリ氏は、「IPSec-VPNにできてSSL-VPNにできないことはない」と述べる。

 現時点では、同社のSSL-VPNアプライアンス「Neoteris Access」シリーズでサポートされているのは、電子メールやグループウェアのほかファイル共有、Telnet/SSH、それにポートが固定されたTCPアプリケーションのみで、動的にポートが変化するアプリケーションには未対応だ。だがそれでも、「クライアントレスで十分なカジュアルユーザーはもちろん、多様なアプリケーションを利用する必要があるパワーユーザーやフルアクセスを必要とするネットワーク管理者まで、3種類のユーザーすべてをカバーできる」とコルーリ氏は主張している。

 Neoterisでは引き続き、Neoteris Accessシリーズの機能強化に努める計画だ。日本法人設立とほぼ同じタイミングで発表された同シリーズの新ソフトウェア「Instant Virtual Extranet バージョン3.3」では、クライアント側にトロイの木馬などが仕掛けられていないかどうかをチェックする機能が搭載されたほか、機密保護を目的に、アクセス終了後クライアント側のキャッシュを消去する機能がサポートされている。

2005年にはIPSec-VPNと同規模の市場に

 Neoterisおよびネオテリス・ジャパンでは、2005年ごろにはSSL-VPN市場がIPSec-VPN市場を上回ると予測している。その根拠として、ネオテリス・ジャパンのカントリーマネージャーに就任した吉田次男氏は、2つの市場調査結果を挙げた。

 1つは米Frost & Suillivanのレポートだ。これによれば全世界のSSL-VPN市場規模は2002年が1940万ドルにとどまっていたのに対し、2003年には約9000万ドル、2004年には約2億ドル規模にまで成長するという。また富士キメラ総研では、国内SSL-VPN市場は2003年は13億円規模にとどまるものの、2004年には28億円、2005年には40億円と、IPSec-VPN市場と肩を並べる規模に成長すると予測している。

 ネオテリス・ジャパンではこうした市場規模の拡大に備え、販売およびサポート体制を強化。新規パートナーや顧客の獲得に務め、2004年には8億円、2005年は16億円の売り上げを目指す。特に日本の場合、ブロードバンド接続が普及しているほか、無線LAN接続の拡大といったとトレンドがあることからチャンスは大いにあるとクリシュナ氏は述べている。

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[高橋睦美,ITmedia]