エンタープライズ:ニュース 2003/10/08 19:15:00 更新


基調講演:既存システムを生かしながらユーティリティ化を目指す、Veritas・ブルームCEO

ベリタスのプライベートカンファレンス「VERITAS VISION JAPAN 2003」が開催された。ブルームCEOは、企業が抱えている既存システムを生かしながらユーティリティ化を可能にするのがベリタスと語気を強めた。

 ベリタスソフトウェア(ベリタス)は10月8日、都内ホテルでプライベートカンファレンス「VERITAS VISION 2003 JAPAN」を開催した。全30セッションが開かれたVERITAS VISION JAPANのオープニング基調講演には米Veritasのゲイリー・ブルームCEOが登場し、同社が推進するユーティリティコンピューティングの実現に向けて、ストレージが重要な役割を担うことを強調した。

 ゲイリー・ブルーム氏

ゲイリー・ブルームCEO


 Veritasは5月の「VERITAS VISION 2003 LasVegas」でアプリケーションパフォーマンス管理製品とサーバの自動プロビジョニング製品の投入を発表。ベリタスの「伝統」であるストレージ管理ソフトと連携させ、ユーティリコンピューティングを実現していくことを明らかにした。国内でもアプリケーションパフォーマンス管理ソフト「VERITAS i3」を発表し、ストレージで培った技術を基盤に、アプリケーションパフォーマンス管理分野に進出を始めている。VERITAS i3はユーティリティコンピューティング実現に向けた第1弾と位置付けられている。

 ベリタスが唱えるユーティリティとは、企業内の既存システムを有効活用しながら、あたかも電気・水道といった公共インフラの如く、信頼性が高く自動化されたIT環境を実現していこうというもの。

 講演の中でゲイリーCEOはこのように説明する。「ユーティリティを言うベンダーはほかにもある。だがこれらはハードウェアベンダーばかりだ。つまり、自分たちのハードウェアで実現してくれということ。私たちの視点は“ヘテロ”、既存の環境の上にベリタスを載せてユーティリティを可能にすることを意味している」。

 ハードウェアやOSといった企業内に混在して存在しているプラットフォームのままユーティリティ化を実現する。これがベリタスの目指すところだ。

 ブルームCEOは「ベリタスのソフトで可用性が高まったのなら、パフォーマンスを確保したいという顧客の話を聞いていた。そのためアプリケーションパフォーマンス管理で評価の高かったPreciseを買収した」と、新らたな分野へ力を入れ始めた背景を説明する。

 「Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベース、ストレージにいたるすべてのレイヤの問題をユーザーの視点から把握できる強力な技術だ」と同氏。また、サーバレイヤを仮想化するしプロビジョニングを自動化するソフトVERITAS OpForceも投入する。

ベリタスの「伝統」は好調

 ブルームCEOは基調講演の冒頭、同社の好調さをアピールした。同社の技術を導入するにあたり、財務的基盤がこれを支えることになるからだ。2000年に11億8000万ドルだった収益は、2002年度には15億1000万ドルと約25%成長。四半期ベースでは、2003年第2四半期は4億1300万ドルの創立以来最大を記録したという。

 「厳しいときにありならが、私たちは慎重な戦略を取ってきた。対応プラットフォームを増やしてきたのだ」と同氏。特に米通信業界から大きな収益を上げており、ベリタスの技術によりコスト削減が図れるという信頼を勝ち得た証明だという。

 またブルームCEOは、同社の「伝統」と表現するストレージ分野でのトピックとしてディザスタリカバリーを紹介。ニューヨークで起こった停電、日本で頻発している地震などを例にとり、「世界各地で不足の事態が起きている。あらかじめ準備しておくこと。これがメッセージだ」と述べる。

 さらに米国では、さまざまな法規制に準拠する形で情報が管理されていないことにより不祥事が引き起こされていることにも触れ、データ管理は企業経営を揺さぶりかねない課題として挙げる。そのために、さまざまなベンダーで構成されているシステムの複雑性を取り除き、コスト削減を実現しつつ管理していく必要があると訴えた。

 また、ベリタスの日本国内での成功要因として、ブルームCEOは可用性とパフォーマンス、データ保護への重要性がテクノロジーの浸透により高まり出していることにあると述べている。

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[堀 哲也,ITmedia]