エンタープライズ:ニュース 2003/10/29 22:59:00 更新


「2008年のブロードバンド市場は2200万世帯に」野村総合研究所かく予想せり (1/2)

野村総合研究所は10月29日、同社にてメディアフォーラムを開催し、「2008年までの通信・放送市場」に関する予測を発表した。成長を続ける市場とそうでない市場の明暗がハッキリ分かれつつある。

 野村総合研究所は10月29日、同社にてメディアフォーラムを開催し、「2008年までの通信・放送市場」に関する予測を発表した。なお、同社では2008年までの情報通信主要32分野の市場分析および市場規模予測を行っており、今後、プラットフォーム、eビジネス、デジタルコンテンツ、ハードに関する市場規模予測を順次公表していく予定だとしている。

 野村総合研究所の執行役員である楠 真氏は同フォーラムの冒頭で挨拶に立ち、「今回の発表は大きく2つの意義がある。普段あまり一般に提供されない情報をサービスとして公表する意義と、市場に対する問題提起としての意義である」と述べている。

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冒頭挨拶に立った野村総合研究所執行役員の楠 真氏


ブロードバンド市場の展望――先進ユーザーから緩やかにFTTHに移行傾向

 ブロードバンド市場の解説は同社の情報・通信コンサルティング部 副主任コンサルタントの寺田 知太氏が行った。

 同氏によると、2008年のブロードバンド市場は2200万世帯に達するとしている。ここ1、2年のブロードバンド市場を牽引してきたDSL市場は、家庭でのPC利用世帯が飽和傾向にあることから、今後の成長は2005年ごろをピークに鈍化し、ヘビーユーザーから緩やかにFTTHへと移行していくという。2008年までの年平均成長率はFTTHが74.6%(2008年には3593億円)、DSLが9.8%(同3064億円)程度と推計している。

 その上限が1100万世帯とされ、すでに成長期の峠も越え成熟期へと移行した感のあるDSL市場については、今後利益を創出していく必要に迫られているが、特に次の3点を考える必要があるとしている。

  • 新たなユーザー層の開拓(中小企業・PC非保有家庭)
  • 利益モデルの確立(ARPUの向上、コスト体質の見直し)
  • 顧客の囲い込み、乗り換えの促進

 現在のDSL市場を牽引している、Yahoo!BBとNTTに関して今後カギとなる点についても触れられた。Yahoo!BBは、ARPU(Average Revenue Per User)の高いユーザーをいかに囲い込み続けるか、NTT東西は同社が展開するBフレッツなどのFTTHへどのように移行させていくかがカギとなるとしている。

 また、ケーブルインターネット市場については悲観的な見方がなされた。同市場は「前門のDSL、後門の光にはさまれて伸び悩む」(寺田氏)とし、本業回帰、新たな収益源の確保も検討すべきとしている。

 そのほか、公衆無線LAN市場は、現在のところ成功したビジネスモデルは存在していないとしており、ビジネスユーザーに対して採用を促すことが重要であるとしている。


次ページでは、通信市場および放送市場の展望についての発表を紹介する

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[西尾泰三,ITmedia]