エンタープライズ:特集 2003/11/24 18:16:00 更新

[JAVA Developer特別企画]2003年12月号
Javadocを日本語で表示させよう

Eclipse 2.11にLanguage Packを組み込み、日本語環境でEclipseを使っている人は多いことでしょう。今回ここで紹介する「MergeDoc」は、Javaエディタで表示されるポップアップの日本語化に役立つツールです。
JAVA Developer 2003年12月号より転載

 国内有数の情報量を誇る「eclipse-FrontPage」は定期的にチェックしているサイトの1つです。そこで見つけたのが、「日本語でホバー表示」というトピック。リンク先にアクセスすると、気になっていたJavaエディタでポップアップ表示されるJavadocの英語表記を日本語化する内容が紹介されています。今回は、そのトピックで紹介されている「MergeDoc」を使い、Eclipseのポップアップを日本語化します。

Javaソースと日本語Javadocをマージする
 MergeDocは、Eclipseのプラグインではなく、スタンドアロンのJavaアプリケーションです。Javaソースコード中のJavadoc部分を別のJavadocとマージする機能を備えています。アーカイブされたソースコードをまるごとマージすることが可能で、J2SEのライブラリを一度に処理することができます。
 そもそもEclipseは、ポップアップ表示する内容をJavaソース(アーカイブ)内のJavadoc部分から抽出し、表示しています。標準状態のEclipseは、JRE_LIB(rt.jar)に割り当てられたJRE_SRC(C:\j2sdk1.4.2_01\src.zip)を参照し、その内容が表示されており、その結果として内容は英語になります。ポップアップ表示の日本語化を行うには日本語のJavadocの入ったソースアーカイブファイルを用意し、Eclipseがそれを参照するようにすればよいのです。なお、ここではOSをWindows XPとし、Eclipse 2.11、J2SDK 1.4.2_01という組み合わせで紹介します。
 ダウンロードしたMergeDocのアーカイブを適当なMERGEDOC_HOME(ここではC:\MergeDocディレクトリ)に解凍します。マージする素材は、JRE_SRCとサンのサイトからダウンロードした日本語版J2SE 1.4.0ドキュメントです。J2SE 1.4.0ドキュメントのアーカイブは、J2SDK140DOCJ(ここではC:\j2sdk-1_4_0-doc-jaディレクトリ)に解凍しておきます。
 ここまで準備できたら、コマンドプロンプトを開いて、カレントディレクトリをMERGEDOC_HOMEに移動し、次のコマンドを実行します。


java -Dtarget.directory=C:\j2sdk1.4.2_
01 -jar mergedoc.jar

 MergeDocが起動し、図1が表示されます。Javadoc API参照ディレクトリにJ2SDK140DOCJのパス名を指定し、「実行」ボタンをクリック(図2)。筆者のノートPC(Mobile PentiumIII/866MHz)では待つこと約10分、すべてのマージ作業が完了しました。

図1
図1 MergeDocを起動。Javadoc API参照ディレクトリを指定し、そのほかの項目はデフォルトのまま、「OK」ボタンをクリック

図2
図2 Javadocのマージ中。キー操作で例外が発生する場合があるので、完了までコーヒーブレイク

 MergeDocを終了し、Eclipseを起動します。パッケージエクスプローラーのJRE_LIBで右クリックし、「プロパティー」を選択(図3)。続いて、「Javaソースの添付」をクリックし、「変数」ボタンを押し、さらに「新規」ボタンを押します。名前に「JRE_SRCJ」を、パスに先ほどマージして作成したファイル名を指定し、「OK」ボタンを押します(図4)。変数選択ダイアログの「OK」ボタン、rt.jarのプロパティーの「OK」ボタンを押したら設定は完了です。

図3
図3 Eclipseを起動し、JRE_LIBのプロパティーを表示させる

図4
図4 新規変数エントリーで日本語Javadoc入りのソースアーカイブを指定。名前は適当なものをつける

 Javaエディタで適当なメソッドの上にカーソルを移動してみます。図5のように日本語でメソッドの解説がポップアップ表示されました。表示されるJavadocの内容によっては、ポップアップの大きさのため説明の途中で切れているものもありますが、気になっていたことが解決できたのはうれしいことです。

図5
図5 無事、ポップアップに日本語Javadocが表示された

 サーブレットAPIに関しては、Ja-Jakartaで公開されている「Servlet & JSP API日本語ドキュメント(servletapi-ja-4.0-src.zip)」をダウンロードし、利用することができます。その中のソースコードは、文字エンコーディングがEUC-JPで保存されていますから、すべてをMS932(Shift-JIS)に書き換えることを忘れずに行いましょう。
 読者の皆さんの中にも、ポップアップが日本語で表示されたらと思っている方がいるのではないでしょうか。MergeDocを使って、ポップアップの日本語化にチャレンジしてみてはいかがですか。

参考リンク
MergeDoc
日本語版J2SE 1.4.0ドキュメント
Servlet&JSP API日本語ドキュメント

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