エンタープライズ:ニュース 2003/11/27 23:13:00 更新


シュレッダーで知られる明光商会が指紋認証システムを発売

明光商会は、指が水や油などで濡れている状態でも認識が可能な指紋認証システム、「MS Without You」の販売を開始した。

 明光商会は11月27日、指が水や油などで濡れている状態でも認識が可能な指紋認証システム、「MS Without You」の販売を開始した。

 MS Without Youは、USB対応の指紋センサーとWindowsプラットフォーム上で動作する専用ソフトウェアから構成されている指紋認証システム。開発元であるリアルアイディーテクノロジーの独自技術により、汗や水などに左右されることなく、高い本人認識を実現する。

 明光商会の説明によると、これまでにも多くの指紋認証システムが提供されてきたが、同一人物でも指が乾いていたり、逆に湿りすぎていたりすると認証されないなど、本人認識率の悪さから広く採用されるまでには至っていない。また逆に、シリコンなどを用いて作成したニセの指によって認証が破られるケースもある。MS Without Youはこうした問題点を解決した製品だという。

 同製品では、パスワードの代わりに指紋を用いてWindowsログイン時の認証を行えるほか、スクリーンセーバーロックの解除やファイル/フォルダの暗号化、イントラネットログイン時の認証などが可能だ。また、書類のシュレッダーで知られる同社だけに、機密情報などのデータを完全に消去する「シュレッダー」機能も搭載している。

 MS Without Youの価格は2万9800円で、大企業だけでなく中小企業や個人事業主などもターゲットにしていく。同社では、個人情報保護法の成立などで、バイオメトリクス認証のニーズは高まると見込み、直販のほか、シュレッダーで培ってきた販売代理店を通じて販売を進める計画だ。

 なお当初はスタンドアロン版のみの提供だが、2004年1月にはActive Directoryなどと連携して一元的に社内アプリケーションなどへのアクセス認証を実現するネットワークバージョンをリリースする予定だ。また、電子メールやWebへのアクセスなど、ネットワークの利用状況をすべて記録する「MSネットレコーダー」に加え、ハードディスクの暗号化システムなどもリリースし、セキュリティ製品ラインナップを強化していく。

 そもそも、コピー機が普及を始めた時代に、情報漏えい防止を目指してシュレッダーを開発、販売してきたことから、「ある意味では40年前から情報セキュリティに携わってきた」(同社)。外部の攻撃から企業を守るというよりも、内部のガードを固め、情報を統制することに焦点を置くという意味では、シュレッダーも指紋認証システムをはじめとするセキュリティ製品も同じことという。ちなみに同社によると、最近では情報セキュリティポリシーの中でデータの廃棄について規定することから、総務部ではなく情報システム部の権限で、紙だけでなく磁気データ媒体にも対応したシュレッダーを購入するケースもあるということだ。

関連リンク
▼明光商会
▼リアルアイディーテクノロジー

[高橋睦美,ITmedia]