エンタープライズ:ニュース 2003/12/09 17:32:00 更新


「ようやくVBを超えた」日本IBM、JSFに対応したJava RADツールを発表

日本IBMは、現在JCPで仕様策定が進められているJSFを取り入れたJava RADツールを発表した。

 日本IBMは12月9日、同社のJava RAD(Rapid Application Development)ツールのマイナーアップグレード版「WebSphere Studio Application Developer V5.1.1」(以下WebSphere Studio V5.1.1)を同日から提供開始することを発表した。

 同日箱崎にて行われたプレスセミナーでは、日本IBMソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏、同ソフトウェア事業 クロスブランド事業推進 米持幸寿氏、ソフトウェア開発研究所 WebSphereツール 田添英一氏が出席し、同製品への意気込みを語った。

山下氏

「WebSphere Studio V5.1.1は『みんなのJava』を目指す」と話す山下氏

 この場で山下氏は、WebSphereをめぐるトレンドとして、次世代金融サービス・システムの発表に見られるようなWebSphereの高機能化を「垂直方向への掘り下げ」と称し、今後は誰でも使えるような開発の容易さに目を向け、『みんなのJava』として水平方向にも広げていきたいと話す

 この「水平方向」への拡大を意味するのが、同バージョンの新機能として挙げられている「JavaServer Faces」(JSF)である。JSFはサーバアプリケーション上で、UIコンポーネントをオブジェクト化するモデルとインタラクションのモデル。

 システム開発効率を向上させるために、数多くのJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)アプリケーション・フレームワークが提供されているが、JSFは、エンタープライJ2EEにおける標準技術として開発された「Webアプリケーションの画面入出力用インターフェイス(GUI)を構築する」ためのサーバサイドのフレームワーク。現在Java標準化コミュニティ(JCP)で仕様策定が進められており、2004年前半に最終仕様が発表される予定。

 JSFを使うことで、Javaプログラムから画面用の入出力部品(テキスト・フィールドやボタン、選択用のボックスなど)を簡単に呼び出して利用可能で、プログラムの開発期間を大幅に短縮できる。

 「(同製品の発表により)僭越ながら、ようやくVBを超えるに至った」(山下氏)

 ちなみに、JSFに関しては現在「PRD2 (Public Review Draft) 」が公開されている状態であり、WebSphere Studio V5.1.1に実装されているJSF機能もテクノロジー・プレビューの位置付けとなっている。

 また、JSFのサポート機能を追加したため、エンタープライズ向けWebアプリケーションのフロントエンド部分の開発速度が格段に強化された。各種DBのデータをオブジェクト化し、JSFの画面にドラッグ&ドロップするだけで簡単に貼り付けることができる「WebSphere Data Object (WDO)」機能も初めて搭載している。なお、同機能もSDO(Service Data Objects)という名称でJCPに提案されている。

 同製品は、早稲田大学理工学部コンピュータ・ネットワーク工学科などコンピュータ・サイエンスに関連する研究室が、2004年初に実施するプログラミング技術のコンテストの開発環境として採用しているほか、清水建設などでも評価を行っているという。

 また、今後の動向として米持氏は、JSFを基盤としたさまざまな機能を大和ソフトウェア開発研究所を中心に開発中だという。そのなかには、コンポーネントをクライアントサイドで動作可能にするフレームワークとして「Faces Client」などが挙げられるという。

関連リンク
▼日本IBM
▼JCP

[西尾泰三,ITmedia]