特集
2004/01/26 15:00:00 更新

第三回
SPSが実現する革新的情報活用(前編) (1/2)

SPSを導入すると、社内の「情報」に変化が起こる。単に蓄積されるだけであった情報が、付加価値を与えられ、新たな意味合いを持つ情報へと生まれ変わって、さまざまな人々の生産性向上に役立っていく。これが、ポータルを用いて情報を有益に操るということの真の姿だ。

 Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003(SPS)を導入すると、次のような循環が起きる。まず、個人・チームの発信した情報が、組織全体でスムーズに共有される。組織全体で共有化された情報は、個人・チームによって自由に引き出され、新しい付加価値を与えられて再び組織へと返っていく。個人・チームから組織へ、組織から個人・チームへ……というらせん階段を上るような情報の循環によって、個人・チーム・組織は、その生産性を最大限に発揮する。SPSは、この循環を作り出すエンジンなのである。今回と次回で、このエンジンの具体的なスペックを2回に分けて解説する。

人、情報、知識、ノウハウを結びつけて新しい価値を生み出す

 文字どおり、ポータルは情報の玄関口である。インターネットやイントラネット上のページに記載された情報、ポータルに格納された文書ファイルなど、リンクや検索機能を使い効率よく目的とする情報にアクセスする為の「玄関口」となってくれる。ところで、もし、必要な情報がファイルやページに記載された形式、つまり文書化されていなかったとしたら、その情報にはポータルからは辿り着けないのだろうか? 従来のポータル製品では欲しい情報がWebページやファイルに記述されていれば、テキスト検索機能やリンクを辿って探し当てることはできたであろう。では、探し当てた文書を読んでさらに疑問を抱いたり、適当な情報を探せなかったらどうするだろうか? 同僚や上司に聞く、社内イントラネットの掲示板に「詳しい方はいませんか?」と書き込む……等々。いろいろな方法があるだろうが、いずれにしても、「探す」という行為に多くの時間とエネルギーを取られるはずだ。

 では、SPSが導入された組織ならどうだろうか。答えは簡単だ。ポータルページ右上にある検索ボックスに必要な情報に関するキーワードを入力し、Enterキーを押せばよい。例えば、今回は「サーバ製品マーケティング」に関する情報を探したとしよう。検索を実行するとこれまでに蓄積されたサーバ製品マーケティングに関するドキュメントやニュースなど文書化された情報とともに、サーバ製品マーケティングに詳しい人物の情報も、またたくまにピックアップされるだろう。

 さらに、その人の持っている資格、キャリア、スキル、所属する部署、連絡先まで、その場で確認できるため、コンタクトを取り直接会話をすることができれば、ファイルやWebページ以上の「生」の情報を得られるかもしれない。

 このようにSPSは、必要な情報に関するエキスパートを探し出し接点を作ることにより、その人の持つノウハウやスキルを入手し活用するというKnow-who機能を提供している。

 情報を引き出せるだけではない。SPSのユーザーは無意識のうちに情報の発信者にもなる。例えば、SPSで見つけたサーバ製品マーケティングの専門家とあなたがチームを作り、プロジェクトをスタートしたとしよう。SPSでWSSサイトを立ち上げ、関連するニュースやドキュメントを収集し、議論を重ね、新たな情報を作り出すことになるだろう。こうしたプロセスは、すべてSPSによって組織全体へと吸収され、共有化される。

 別の支社・部署にいる、同じくマーケティングの専門家を探している人物が、SPSのポータルページで「サーバ製品マーケティング」というキーワードで検索したら……。今度はあなた自身、そしてあなたのチーム内の情報がヒットするだろう。その人物からあなたに連絡が入り……、というように、仕事・人のネットワークが自然に広がっていく現象は、SPSの導入によって、ごく当たり前の日常風景となるはずである。

 SPSには、こうした情報の循環を実現する機能が豊富に用意されている。ここからは、その具体的な機能を解説しよう。まず、SPSのインストール直後のページ構成から見ていこう。

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[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

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