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2004/02/03 17:05:00 更新


日本IBMとアドビ、PDFをベースとしたドキュメントソリューションで協業

日本IBMとアドビが、両社の製品や技術を組み合わせた「電子フォームソリューション」と「SAP帳票作成管理ソリューション」を発表した。さらに第2弾、第3弾も準備中という。

 日本アイ・ビー・エムとアドビシステムズは2月3日、e-Japan構想を見据えた企業向けおよび官庁向けドキュメントソリューションの提供で協力していくことを明らかにした。

 昨年10月、Adobe SystemsとIBMがワールドワイドの提携を明らかにしており、今回の協業はそれを受けたものだ。この日、第一弾として明らかにされたのは、金融や官公庁/自治体を主な対象とした「電子フォームソリューション」と「SAP帳票作成管理ソリューション」の2つ。どちらもアドビのPDF技術とIBMのミドルウェア技術を組み合わせ、ソリューションとして提供される。

 日本IBMソフトウェア事業部では今年1月、大幅な組織再編を実施した。ミドルウェアにもソリューションを求める顧客の声を反映し、単体製品(WebSphere、DB2、Lotus、Tivoli、Rationalの5ブランド)からそれらを組み合わせたソリューションへと軸足を移すのが狙いだ。アドビとの発表はその第一弾でもある。

 都内で行われた記者発表会で、1月からソフトウェア事業担当となった三浦浩執行役員は、「グローバルな競争激化に直面し、顧客企業は事業の変革と実行にスピードを求めている。ミドルウェアもソリューションに一歩近づけて提供していきたい」とその背景を話す。

イメージとデータを統合管理

 電子フォームソリューションは、Adobe Form Server、Adobe Reader(旧Acrobat Reader)などと、IBM DB2 Content Managerを連携させたもの。企業や官公庁/自治体が、各種申請書をPDFの電子フォームとして配布し、利用者(顧客、取引先、市民など)が必要事項を入力し、インターネット経由で提出するのに適している。

 Adobe Document Server for Reader Extensionsを利用することで、利用者は無償配布のAdobe Readerでありながら、電子署名やファイルの添付、あるいはオフラインでのデータ入力や保存が可能となるのが大きな特徴。電子フォームの配信と受信を受け持つAdobe Form ServerとDB2 Content Managerとをつなぐコネクタ製品はアドビから提供される。電子フォームに記入されたデータはXMLを介してDB2 Content Managerに受け渡しが行われ、PDFファイルと一緒に管理されるため、審査や承認といったワークフローの際、名前からPDFファイルを検索・参照することも可能となる。

 もう1つの帳票出力管理ソリューションも、両社の既存製品をうまく組み合わせている。

 Adobe Output Pak for mySAP.comは、SAP R/3の帳票をプリンタで出力したり、PDFを生成したり、メール送信する機能を持つ。PDFで作成された財務関係文書をDB2 Content Managerで管理することで、保存された伝票を検索し、そのイメージをプレビューできるようになる。

 なお、この日発表されたソリューションは、アドビが2月12日に開催する「Adobe Intelligent Document Platform Day 2004」で詳しく紹介される。

 アドビの石井幹社長は、「われわれは、Intelligent Document Platformを核とし、人と基幹業務をうまくつなぐエンタープライズ戦略を強力に推進している。エンタープライズ分野に強いパートナーとの提携を拡大しており、日本IBMとの協業もその一環だ」と話す。

関連リンク
▼アドビシステムズ
▼日本IBM

[浅井英二,ITmedia]

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