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2004/02/11 05:55:00 更新


「EMCは確実に変わり始めた」――ソリューション展開に取り組むEMCジャパン

ストレージ製品のラインアップを一新するとともに、間接販売に力を注ぐ方針を明らかにしたEMCジャパン。同社の富樫尚人氏(パートナー営業統括本部長)によると、既にその取り組みは始まっているという。

 「これまではどうしても、システムを考える上ではまずアプリケーションやOSが先にあって、ストレージは最後という順番になっていた。しかしその結果、運用が煩雑になり、顧客はそのコストに耐えられなくなってきている」――EMCジャパンのパートナー営業統括本部長を務める富樫尚人氏は、顧客の多くがこういった悩みを抱えていると述べる。

 EMCジャパンは2004年に入り、これまで中心としてきた直接販売モデルに加え、間接販売を強化する方針を打ち出した。このビジネスを率いる富樫氏は、「EMCのノウハウや経験、製品ラインナップを、パートナーの持つ技術と組み合わせ、より確実にわれわれのメッセージを伝えていきたい」と意気込みを語る。

富樫氏

パートナー営業統括本部長としてEMCジャパンの間接販売強化戦略を進める富樫氏

 まだ具体的なパートナーの名前までは公表できないが、確実に話し合いは進んでいるという。その際に重視するのは、「パートナーが強みを持つ分野に、EMCの持つノウハウやラインナップを当てはめることによって、いっそう強みを生かしたソリューションを実現できること」(同氏)。そのためにEMCでは、販売、マーケティングや技術といった各部門にまたがった部隊を編成中だ。こうした取り組みを通じて最終的には、間接販売の比率を8割程度にまで上げていきたいとしている。

パートナーとともにソリューション展開を

 ストレージの運用、管理にまつわるコストが大きな課題になっているのは周知のとおりだ。だが、単に10台あったサーバを半分に減らす、という具合にストレージを統合するだけでは、この問題を解決できるわけではないという。「データをいかに効率的に活用できるようにするかがポイント。それがまた、次の業務を改善していくきっかけにもなる」(富樫氏)。

 その例の1つがバックアップ/リストアだという。企業内ではたいてい、複数のアプリケーションやサーバが稼動している。本来ならば、これらが連動する形のバックアップポリシーが策定されるべきなのに、実際にはシステムごとにばらばらの状態だ。

 「現実にこういうことが起きている。これに対しEMCではバックアップアセスメントサービスを通じて、バックアップ体制からどういった効果が見込めるか、逆に穴はないかといった事柄を評価するコンサルティングを提供している。これがけっこう効いているようだ」(富樫氏)。中には、それなりに予算を投じてバックアップ対策を取っていたはずなのに、評価の結果、それが効果的に生かされていなかったことが初めて判明したケースもあったという。

 リカバリも同様だ。「どのデータを重視し、どういった条件でどのデータをリカバリするのかも把握できていないことがある。これを明確にすれば、どこを強化すればいいいのかも見えてくる」(同氏)。こういったアプローチは、より大規模なビジネスコンティニュイティやディザスタリカバリといった分野にも適用可能だ。

 データをどうプライオリティ付け、ストレージシステムを構築するかは、顧客の業務やシステムによって正解はまちまちだ。それを踏まえたうえで、顧客に合ったコンサルティングやノウハウをパートナーとともに展開し、ビジネスを広げていきたいと富樫氏は述べる。

 具体的な動きがあるのが、運用管理の分野だ。「本当の意味でライフサイクル管理を実現するには、メインフレームやUNIX、Windowsなどどんな環境にも対応できなければならない。それができるのはEMCのほかにはなかなかない」と同氏。その運用管理ツールとパートナーのそれとを組み合わせ、「互いに補完し合って動くソリューションの検証を進めており、それほど遠くない時期に発表できる」という。

 また、比較的後発の部類に入るミッドレンジ市場では、デルコンピュータとの提携を軸に販売を強化。マイクロソフトやオラクルといったベンダーとの提携を踏まえ、エントリーからミッドレンジにかけての顧客でも簡単にシステムを導入できるよう、簡単なコンサルティングなどを含んだ提案を共同で行えないか検討中という。

 「『短い期間で本当に間接販売主体の体制に変われるの?』と思われるかもしれないが、確実にEMCは変わり始めている」と富樫氏。これまでの直販体制の強みを最大限に生かしながら、顧客とパートナー、双方に喜んでもらえる体制作りを進めていくという。

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[高橋睦美,ITmedia]

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