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2004/02/12 23:09:00 更新


シマンテックの実態調査結果で浮かび上がるスパムメールの今

シマンテックが2月12日に発表したスパム(迷惑)メール実態調査結果を見ると、ユーザーは迷惑しているにも関わらず、それに対する防御策に関する意識はそれほど高くないといえそうだ。

 シマンテックは2月12日、国内のインターネットユーザーを対象に実施したスパム(迷惑)メール実態調査結果の概要を発表した。今回の調査はセキュリティベンダーによるものとしては日本初だという。

 都内で行われた発表会で、シマンテックの執行役員副社長、コンシューマ事業統括の齋藤秀明氏は、「インターネットの技術は日進月歩で進化しているが、それによって生まれた問題はもっと早いスピード、いわば秒進で進化している」と話し、スパムメールのもたらす危険性についての意識を高めるとともに、事態がさらに深刻化する前にその予防策を理解・認識させたいという。

齋藤氏

「今後、こうした調査は定点観測化していきたい」と話す齋藤氏


 なお、今回の実態調査は、シマンテックからの依頼を受け、インフォプラントが実施した。全国のインターネットユーザー4002名を対象として、昨年末に予備調査(スクリーニング調査)を行い、本調査では1200のサンプルを得ている。

予想通りの結果が……

 同調査結果によると、インターネットユーザーの83.2%が何らかのスパムメールを受け取ることがあるという。世代別で見ると、20代男性が92.9%と比率が高く、40代男性の91.1%がこれに続いている。また、50歳以上の女性層はやや低いとはいえ、75.9%に達しており、スパムメールが年代や性別に関係なく無差別に送られている現状が浮かび上がる。

 また、スパムメールの内訳は、「出会い系サイトの宣伝」(59.1%)が最も多く、「意味不明な英文その他外国語のメ−ル」(50.6%)、「わいせつなサイトの宣伝」(45.8%)、「SOHO・在宅ワ−クなどの宣伝」(41.8%)、「わいせつなビデオ・DVD販売などの宣伝」(40.8%)の順となっている。

 これらのスパムメールを受信する頻度は、44.5%が「1日に1通以上」、「1日に20通以上」が7.0%、「1日に15〜19通」が3.0%、「1日に10〜14通」が5.3%となり、1日に10通以上受け取る人が全体の15.3%に達しており、頻度の面でも深刻な状況を示している。

 そのほか、スパムメールのどのような点に嫌悪感を持つかという質問に関しては、71.6%が「読んだり、捨てたりすること自体に無駄な時間がかかる」と答え、「同じようなメールが繰り返し、しつこく送られる」が56.1%、「ウイルス感染の心配」と答えた人が55.4%となっている。

 なお、同調査では、就業者に対して、「自宅」と「会社」のアドレスでスパムメールの量に違いはあるかも調査されている。これによると、1日に20通以上スパムメールを受け取る割合は、自宅が7.8%であるのに対し、会社では2.8%で、全体的に会社のメールアドレスではスパムを受け取る割合が低いとなっている。企業のメールサーバーでフィルタをかけていることも考えられるが、同調査では、この部分の分析はされていない。

スパムメール対策への誤解

 このようにスパムメールによる影響が深刻化しているにも関わらず、これらを回避する対策が積極的にとられているとはいえない実情も明らかになっている。「スパムメールが届かないように、対策をとっているか」という質問に対しては、「何もしていない」と答えた人は29.0%で、52.0%は「メールを見て、手動で削除」という消極的な対応でした。そのほか、「メーラーのフィルタ機能を利用」が20.8%、「プロバイダの提供する『フィルタリングサービス』を利用」が14.3%となっている。

 この「何もしない」というのは一見消極的ではあるが、だからといって、対策を取ることが必ずしも正解とは限らない。今回の調査では、スパムメール業者の狙いにはまっているユーザーも存在している。というのは、スパムメールに書かれたURLやメールアドレスに対して、拒否の旨を伝えようと試みるユーザーが20%を超えているのである。

 いうまでもなく、これらのスパムメール業者が、ユーザーから送られる拒否のアクションに対して、誠意ある対応を行うことは稀である。たいていの場合、そのメールアドレスが生きていることが分かって、更なるスパムメールが増えるだけである。


 今回の調査では、ユーザーの7割以上が『スパムメールは不愉快で、時間の無駄を招く迷惑なもの』と答えているにも関わらず、何らかの積極的な予防策を採っているユーザーは比較的少ない。こうしたスパムメールの引き起こす問題に対応するべく、シマンテックでは、Norton AntiSpam 2004を勧めたい考えだ。同製品は、主要なメールソフトの最新バージョンと統合可能で、POP3接続の段階でスパムメールを判別し、スパムと判別したメールを自動的に作成されるスパム用のフォルダに集めることが可能。さらに、学習機能を備えており、ユーザーの送信メールを学習することでスパムメールの検知率を向上させることができる。

関連リンク
▼シマンテック
▼インフォプラント

[西尾泰三,ITmedia]

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