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2004/03/29 16:33 更新


日本の製造プロセスをパッケージが効率化する、IFSカンファレンスが開幕

米フロリダ州オーランドで「IFS World Conference 2004」が3月28日から4日間の予定で開催される。BMWをはじめ、米ナショナルセミコンダクター、ロンドンタクシー、各国の軍事関連システムなど多数の導入実績を持つ同社IFS Applicationsについてレポートする

 初夏の陽気の中、米フロリダ州オーランドで「IFS World Conference 2004」が3月28日から4日間の予定で開催される。「世界第5位のERPベンダー」とも呼ばれるスウェーデン企業のIndustrial and Financial Systems(IFS)は、ドイツのBMWをはじめ、半導体メーカーの米ナショナルセミコンダクター、ロッキードマーチン、ロンドンタクシー、各国の軍事関連システムなど、45カ国3000社を超える顧客を抱える。1997年に設立された日本法人は、NEC、日本IBM、日本ユニシスなどがチャネルパートナーとして販売を行っている。

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展示会場のブース。IFSのほかNECアメリカやABBなどを含むパートナーや、ユーザー企業がブースを開設し、参加者に説明を行っている。

 1月には、米AMRリサーチがレポート「Maintenance,Repair, and Overhaul Software for A&D - A Difficult Transition to a Service-Based Model」で、MRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)製品として最高点を付けるなど、IFSの世界での評価は高い。

 IFS Applicationsのコンポーネントは、e-ビジネス、会計、エンジニアリング、CRM、SCM、設備保全管理、販売支援など、詳細かつ幅広く提供される。それらは、完全なコンポーネント形式で提供されるため、段階的な導入がしやすいことも特徴となる。

 特に、製造業の現場への導入実績が多いIFS Appplicationsは、一般的にパッケージを導入しにくいと言われる日本の製造業の製造プロセスを効率化するツールとして、今後幅広く浸透する可能性を感じさせるものとなっている。

 余談だが、スウェーデン企業全般の特色は、仕事に対する真面目さだという。米国系のベンダーのような派手さがないことはすぐに感じ取れる。世界から集まったIFSの社員と話しても、その真剣な取り組み姿勢にまず気づかされる。工場などのいわゆる地道な印象のある実行系システムを任せるユーザー企業にとっては、インフォーマルな意味での安心感を持てるかもしれない。

BMWでの幅広い採用

 IFS Applicationsの導入事例として、BMWは、ドイツのシートメタル・プレス工場3カ所で採用。製造オーダーの割り当て、資材および人員計画の適正化、製造オーダーのシーケンス管理、資材部品の搬送計画などを管理している。同社はIFS採用の際、機能の豊富さと柔軟性を評価した。生産工程の効率化と、工程管理の可視化という導入目的は現実の効果として現れているという。

 また、1994年に買収したRoverグループの基盤が残っていた英BMWでも、生産管理システムをIFSで再構築した。スウェインドン工場を、将来的に自動車ボディパーツサプライヤーとして独立させることも目指す。IFSを導入した理由は、優先度に合わせた段階的でスピーディな導入が可能であること。具体的には、部品表データなどを含め、1年以内での本番稼動が求められた。導入後は、MRPと製番管理がスムーズに統合したことにより、受注生産品のプロセスを掌握できたという。

 日本でも既に、住友電工、オリンパス工業、トンボ鉛筆、東陶機器、日本アビオニクスなど41社66サイトにIFS Applicationsが採用されている。

 日本の製造業、特に自動車業界やハイテク、医療、産業用機械といった分野ではシステムを自社開発していることが多い。そうした企業への導入を見据えた上で、IFS Applicationsの機能や世界での導入事例、業種別の利用方法などについてレポートする。

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IFS Applicationsのコンポーネントの一覧。

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[怒賀新也,ITmedia]

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