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2004/04/09 18:07 更新


ストレージ管理標準「SMI-S」にユーザーが突き付けた懸念

初の準拠製品が発表されたばかりの標準「SMI-S」をめぐり、ユーザーグループが疑問を投げ掛けている。ストレージベンダーは独自のアプリケーションを依然優先し、SMI-Sの有効性が定かではないというのだ。(IDG)

 Storage Networking Industry Association(SNIA)は今週、相互運用性確立を図る新仕様「Storage Management Initiative Specification」(SMI-S)に準拠する製品として、主要ストレージベンダー14社の100製品以上を認定したことを発表した(4月7日の記事参照)。しかしユーザーグループのメンバーは、複数のベンダーから提供を受けて構築したSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)を単一のソフトインタフェースで容易に管理できるといううたい文句に、懐疑的な見方を示している。

 SNIAから適合試験プログラムに合格したと発表された製品群は、SMI-Sに準拠していることになる。SMI-Sは、ストレージ管理ツールを使ってあらゆるメーカーのストレージ機器を管理できるようになるプロトコルセット。

 しかし4月7日のSNIA End User Councilに出席したITマネジャーらは、この相互運用性確立に向けた標準を機能させる意思が、ベンダー側に十分あるのかと疑問を呈した。

 米IntelliBrowser SolutionsのITマネジャー、ジョセフ・ゴインズ氏は、ベンダーは業界標準に準拠させるよりも、独自インタフェースの開発を優先させるだろうから、SMI-Sへの準拠は常にプロプライエタリなアプリケーションよりも後回しにされるだろうと指摘した。

 ある匿名ユーザーは、契約先ベンダーの一部はソフトのアブストラクションレイヤーを利用してSMI-Sに準拠しているように見せかけているが、実際には管理機能を機能させる上で他社とのAPI利用契約に依存していると述べた。このITマネジャーは「彼らは差別化要因としてAPIを維持する考えだ」と語った。

 Toigo Partners Internationalのコンサルタント、マイク・アルバラド氏は、ベンダーに自社製品のSMI-S対応を進める意欲を起こさせることで、SMI-S適合プログラムの信頼性を高める必要があると主張した。

 簡単に使えるSANの管理ソリューションを多くのユーザーが求めているのは確かなようだ。

 Thomson Legal and Regulatoryのストレージアークテキト、ジョン・クラーク氏の話では、最近同社からシステム管理者がいなくなり、データセンターにある400T(テラ)〜500Tバイトのストレージ容量を、同氏ほか7人でそれぞれ約60Tバイトずつ管理することになった。

 「環境が複雑だ。人を増やすわけにはいかないので、管理を簡単にする必要がある」とクラーク氏。

 VISA USAでデビット決済サービスのデータセンター・オートメーション業務担当ディレクターを務めるマーク・デタート氏は、米フェニックスで開催のStorage Networking WorldカンファレンスでComputerworldの取材に応じ、ストレージ機器の相互運用性を推進してユーザーを助けるかどうかはベンダー次第だと語った。ベンダーは大企業クラスのデータセンターを独り占めすることは決してないと認識しなくてはならず、「相互運用の輪に加わるか、手を引くか」のどちらかを選ぶ必要があると同氏。

 MotorolaのITマネジャー、ケン・マクナマラ氏は次のように話した。「私が昨日ベンダーから聞いた発言は、悲惨なものだった。彼らは依然としてさまざまなベンダーとAPI関連の契約をめぐって協力を進めているところだという。(SMI-S仕様に関して)なすべきことはもっとあると、皆に思わせることになるだろう」

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