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2004/04/14 18:09 更新


Windows上でLinuxをネイティブに動かす「coLinux」

イスラエルと日本のプログラマーが開発した「coLinux」は、仮想化ソフトを使わずにWindows上でLinuxを快適に動かせる。「MSの独占を打破する重要な一歩」との評価も。(IDG)

 1カ月前、「coLinux」というあまり知られていないLinuxアプリケーションのテスト版がリリースされた。これは、Windows上でLinuxをネイティブで最適に実行できる、初の実用に耐えるフリーなオープンソースの手法だ。coLinuxを開発したのはイスラエルでコンピュータサイエンスを学ぶ21歳の学生と、複数の日本のオープンソースプログラマーだ。イスラエルでは、coLinuxはアナリストから既に、ソフトウェアの世界を変える一助になるかもしれないと評価されている。

 イスラエル国防軍(IDF)がまたやってくれたようだ。IDFは、ワイヤレス技術の分野で活躍する天才ソフト開発者の世代を生み出したことで既に有名だが、今度は世界を変えるかもしれないプロジェクト――LinuxをWindows 2000/XPで走らせる――を立ち上げる能力を持った能をふ化させたようだ。

 IDF付属大学コンピュータ学部の大学院生ダン・アローニ氏は、「Cooperative Linux」(略して「coLinux」)と呼ばれるLinuxアプリケーションを開発した。これはLinuxカーネルの移植版で、1台のマシン上でほかのOSと並行して協調的に動作できる。例えば、これを使うとVMwareなどの市販のPC仮想化ソフトを使わなくても、Windows上でLinuxを実行でき、しかも汎用仮想化ソフトを使うよりも最適に動作させられる。

 国際的なオープンソースコミュニティーに参加するアローニ氏は、インターネット経由で日本の複数のプログラマーと協力してcoLinuxを開発した。coLinuxのWebサイトによると、彼らはホストOSがハードから通知を受ける方法を変更し、2つのOSが友好的に共存でき、快適なスピードで動作できるようにする特殊なコアドライバを書いたという。

 イスラエルでは、同じコンピュータやサーバ上でLinuxとWindowsを並行して実行できる可能性を持つシステムに、既に賞賛の声が上がっている。

 OSごとに別々のマシンを用意せずに済めば、組織にとっては大きな節約になるとイスラエルのオープンソースフォーラムのメンバー、シャハル・シェメシュ氏は語る。調査会社Meta Groupの上級情報システムアナリスト、ピニ・コーエン氏は、coLinuxの開発を「Microsoftの独占を打破する重要な一歩」だとしている。

 「Linuxが組織においてこれまで以上に重要な役割を負う傾向が見られており、アローニ氏の成果は極めて興味深い。問題は、Microsoftがどう反応してくるか、LinuxシステムがインストールされたWindowsシステムでも、同社がサポートを提供するかどうかだ」(コーエン氏)

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▼Cooperative Linux

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