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2004/04/14 09:12 更新


揉め事を解決する上でも「電子メールの保存は重要」

日本ストレージ・テクノロジーのセミナー、「企業のコンプライアンスと電子メールのデータ保護」の中で、金井高志弁護士がデータや電子メール保存の重要性について語った。

 「電子メールは、証拠能力としては紙の文書とまるで同じ。にもかかわらず電子メールの重要性を認識していない人があまりに多い」――フランテック法律事務所の金井高志弁護士は4月13日、日本ストレージ・テクノロジーが開催したセミナー、「企業のコンプライアンスと電子メールのデータ保護」の中でこのように語り、電子メールの「保存」をどうするかが企業にとって大きな課題になるだろうと指摘した。

 今では、企業のさまざまなシーンでやり取りされる文書が、紙ベースのものからデジタルデータに変容し、法律上も帳簿や書面としての効力を持つようになっている。金井氏はそれを踏まえ、情報の共有やナレッジマネジメントを通じた事務の効率化というメリットを最大限に引き出すとともに、リスクマネジメントの観点から情報の管理に取り組むべきという。

 「弁護士の観点から言えば、記録とは証拠そのもの」(金井氏)。それを考えに入れれば、情報の入手/作成から配布/流通、活用、保管/保存、さらには廃棄にいたるプロセス全体にわたって情報を管理するレコードマネジメントシステムが必要だと同氏は述べた。

 このプロセスの中でも重要なのが「保存」というステップだ。今は利用していない1年前、2年前のデータをどのように取っておくかが、いざトラブルが発生したときの対処を左右する。

 「たとえば、システム構築において仕様の変更が発生したとき、どちらがコストを支払うかで揉めることがある。いったいどういう話し合いがあり、どのような経緯で変更が決まったのかを知るためには過去の電子メールのデータが必要になる。だがそれが『捨ててしまってない』となると、誰の責任で仕様を変更したかの証拠がないということになる」(金井氏)。こう考えれば、日常業務の中でも保存は重要な役割を担うことになる。

 ちなみに、民事訴訟の場において、デジタルデータは「紙と同じ証拠能力がある」と金井氏は言う。デジタルデータは改ざんが容易であることを考慮すれば、電子署名の有無によって証拠力/証明力の強弱こそ生じるものの、法廷では立派に証拠として取り扱われる。

 しかし、いざ訴訟が起きたとして、そこに出す証拠――文書や電子データがなければどうしようもない。自社に有利な証拠を提出するという意味でも、データの保存は重要だという。

過去の電子メールがあれば……

 特に金井氏が協調したのが、電子メールの取り扱いだ。企業の内外で起こっているさまざまな事件を見ると、「電子メールは犯罪の決定的証拠となりうることが分かってきている。にもかかわらず、皆、電子メールを軽視しすぎだ」(同氏)。

 紙の文書の場合、仮にも外部に出すものとなれば、上司の確認や稟議といったチェックを経ることが多い。しかし電子メールの場合はそこまで認識されていることは少ないという。電子メールはまた、組織の文書管理規定の対象外となっていることが多い。この結果、「外部に出すという認識が低いまま気楽に電子メールをやり取りし、自社に不利となる内容が残される可能性がある」と金井氏は言う。

 「電子メールのやり取りは、企業活動を示す証拠の山となりうる。これは本当だ」(同氏)。これに加え、裁判所による文書提出命令への対応を考慮しても、電子メールの管理は必要だという。

 ちなみに米国では、一連の企業不祥事を受けて、一定期間の電子メール保存を義務付ける法律や規則が制定されている。これに対し日本では、今のところは電子メールの保存をはっきり規定したものはないが、金井氏は「電子メールの保存、管理に規制を設けていこうとい流れはある」と述べている。

 もう1つ検討が必要となる事柄がある。企業としての電子メール管理と従業員のプライバシーとの調整だ。金井氏は、会社の設備を利用して電子メールをやり取りしている以上、監視を行うのはやむを得ないという考え方が原則だとしながら、やはり「プライバシーは大きな問題であり、どのように規定を作るかが課題になる」としている。

 電子メールの管理は、情報漏洩の防止といった観点からも必要な措置と言える。たびたび発生してしまっている個人情報の漏洩だけでなく、企業として重要度の高い営業情報や技術情報の漏洩を防止する上でも、電子メールの作成、配布といった各段階ごとに、取り扱い基準や管理方法を明確化すべきという。また、「このとき、ただルールだけがあっても意味はない。教育や研修によってこのルールを周知徹底させることが重要だ」(金井氏)。

 金井氏は最後に、改めて電子メール「保存」の重要性を訴えてセミナーを締めくくっている。「過去のメールが出てこなくて揉めるケースはけっこうある。企業として電子メールの保存をどうするかを頭に入れておいてほしい」(同氏)。

関連リンク
▼日本ストレージ・テクノロジー
▼フランテック法律事務所

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