コラム
2004/04/15 00:04 更新

国内代表者に聞くオープンソースの今:
各種Linuxディストリビューションが標準採用するPostfix、池田望氏コラム

Sendmailとの高い互換性を備えるPostfix。そして、設定の容易さも相まり、最近では多くのLinuxディストリビューションで標準採用されている。

 Linuxチャンネル連載「国内代表者に聞くオープンソースの今」。ここでは、MTAとしてSendmailに次ぐ人気だといえる「Postfix」について、ユーザー会で活躍されている池田望氏にコラムを執筆いただいた。


 電子メールは、ビジネスやプライベートで欠かせないサービスの1つになっている。このサービスを裏で支えているのがSMTPサーバ(MTA)であり、知名度、実績共に最近急上昇しているPostfixもその1つだ。

PostfixはIBMワトソン研究所のVenema氏が開発した

 Postfixは、より簡単に使えるメールサーバを目指してIBMワトソン研究所のWietse Venema氏が開発しているソフトウェア。すでに最初のバージョンがリリースされてから5年以上が経過しており、ホームユースから大規模プロバイダまで、様々な場所で使われるようになってきた。標準のMTAとして採用するLinuxディストリビューションも増えており、最新版のMac OS X Server v10.3にもPostfixが採用されているなど、その安全性や利便性が次第に認められてきている。

 最近ではウィルススキャナやスパムフィルタなど、MTAとほかのソフトウェアとの連携が重要になってきているが、Postfixはコンテンツフィルタ機能などで外部プログラムを簡単に利用することができる。逆にウィルススキャナやコンテンツフィルタもPostfixをサポートすることが多くなってきた。

 現在もユーザからのフィードバックを多く取り入れた積極的な開発が続いており、まもなくリリース予定のバージョン2.1では(2004年4月13日現在)、PostgreSQL対応やCIDR形式(IPアドレス/ネットマスクという表記)のマップサポート、greylistingのように外部ソフトにメールリレーの可否決定を委任するためのインタフェースなどの新機能が加わることになっている。

 Postfixはメールサーバの管理の負担を減らすだけではなく、通信相手の回線帯域を考慮して配送速度を決定したり、OSやほかのソフトのバグなどによる問題を回避するための対応が入るなど、MTA単体だけにとどまらない、メールシステム全体として安全かつ便利に使えるように考慮されているサーバソフトだ。

国内におけるJPAG

 日本では、これまでPostfixユーザ会のようなものは存在せず、Postfixのぺーじ等の個人のWebページから発信される情報と、Postfix-jpメーリングリストでの情報交換が中心だった。そのためか、特にユーザー同士で集まる機会を持つことはなかった。

 2003年11月におこなわれた関西オープンソース+フリーウェア2003のVenema氏の基調講演に合わせ、日本で初めてのPostfixユーザーによるミーティングがVenema氏も参加の下で開かれた。これを機に、日本での更なるPostfix普及を目指して「JPAG」(Japan Postfix Administrators Group、日本Postfix管理者グループ)を設立することとなった。このJPAGというネーミングは、メーリングリスト上で集まった名称案を元に、アンケートで決定されたものだ。

 これまでPostfixの普及活動は個人のリソースに依存するところが大きく、その負担はかなり大きなケースもあった。そこでまずはじめに、特に管理者の方の負担が大きかったPostfix-jpメーリングリストをsourceforge.jpに移行し、管理をJPAGで行うことにした。それ以外の実績はまだほとんどないが、Postfixを使う人の支援はもちろんのこと、普及に携わる方々の負担をなるべく軽減することで、ますますの活躍を応援する場を提供していくつもりだ。

 sourceforge.jpが提供している機能を利用して、ドキュメントの翻訳物やHOW TOなどの文書をJPAGの管理下に集約していくことも現在検討している。多くの場合、メールサーバを構成するにはPOPサーバやIMAPサーバ、さらに最近ではウィルススキャナやLDAP等のPostfix以外のソフトウェアとの連携が必要なので、JPAGではこういった情報も積極的に集めていくつもりである。最終的には日本におけるPostfixを中心としたメールサーバ環境に関する情報の総本山をJPAG管理の下を作りたいと考えている。私の個人的な意見ではあるが、JPAGに集められた情報を元に英語のコンテンツも提供することで世界中のコミュニティに対するフィードバックも行い、日本にとどまらないPostfixの発展に寄与していきたい。

 現在は特に定期的なミーティングなどの予定はないが、機会があればイベントへの参加やミーティングなども実施していくつもりだ。また、JPAGへの入会には特に制限を設けておらず、Postfixに興味のある人は、誰でも歓迎する。現在は会員登録や特典等はないが、まずは「Postfix-jpメーリングリスト」に参加してPostfixの使い方について議論してみてはいかがだろうか。

 Postfix自体について議論する「Postfix-jpメーリングリスト」とは別に、JPAGの運営を議論する「JPAGメーリングリスト」も新たに設けられた。Postfix普及のためのアイディアや意見などがあれば、ぜひJPAGメーリングリストにも参加していただきたい。組織としてはこれ以外に、JPAG設立に最初から関わった3人が事務局を運営しているが、現在はJPAGの代表連絡先としての役割が主である。この体制は今後、必要に応じて変えていくつもりである。

 JPAGはまだできたばかりの組織で至らない点も多くあると思うが、みなさんの力を借りて改善していきたいと考えているので、ご協力をお願いしたい。

メールサーバの重要性とウイルス、スパムへの対処

 最近はインフラとしてのメールサーバの重要性が増してきている一方で、ウィルスメール対策やスパム対策なども必要となり、メールサーバ管理者の負担も非常に大きなものとなってきており、本来の業務に支障が出ていることも少なくないと思われる。また、外部ソフトとの連携が重要になるにしたがって、メールサーバ構築に求められる必要な知識も年々増加してきている。JPAGは少しでもその負担を減らし、サーバ環境やネットワークの理解を深めるのにお役に立てるように発展させていきたいと考えている。

関連リンク
▼「JPAG」(Japan Postfix Administrators Group)
▼Postfix-jpメーリングリスト
▼JPAGメーリングリスト
▼Postfixのぺーじ

[池田 望,ITmedia]

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