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2004/04/26 19:35 更新


AMDの64ビットロードマップ、「顧客主義」で勝負

日本AMDとマイクロソフトが開催した「AMD & Microsoft Software Developer Conference」で、OpteronとAthlon 64による同社の64ビット戦略について紹介した

 日本AMDとマイクロソフトが開催した「AMD & Microsoft Software Developer Conference」で、日本AMDのCPGマーケティング部長を務める秋山一雄氏が、OpteronとAthlon 64による同社の64ビット戦略について紹介した。コスト面の優位性だけでなく、顧客にフォーカスしていることがAMDの差別化のポイントとして指摘されている。

 「ムーアの法則の下、製品にフォーカスしているメーカーがある一方で、AMDは常に顧客にフォーカスしている」と秋山氏は話す。x86系プロセッサメーカーとして、当然ながらインテルとの違いについて強調する内容になった。

 具体的には、インテルについて、「クロック周波数偏重、エンジニアリングを優先して顧客は二の次にしている、テクノロジーが人を動かしている」と皮肉も交えて話した。

 顧客主義の革新が意味するものはやはり、AMD64の特徴である「32ビットにおける投資資産の保護と64ビットへの容易な移行」。これまで、「286」「386」「MMX」「3DNow!Technology」「AMD64 Technology 32、64-bits」と移り変わってきたAMDのプラットフォーム上において、386時代の16ビットから32ビットへの移行と同じコンセプトで64ビットへの移行を行うことができる。

 一方で、他社を見ると、Alpha、SPARC、Power、PA-RISC、Itaniumなど、それぞれ独自規格のRISCプロセッサとなっており、「独自の命令セットを持ち、現行の32ビットコードとの互換性を持たない、専用のOSとアプリケーションを必要とする点で、AMDのプラットフォームの方が顧客にとってメリットを生むプラットフォーム」とアピールしている。

 技術面で見たAMD64の特徴として、x86の32ビット環境を拡張した64ビット技術を実現した「AMD64テクノロジ」、ノースブリッジチップ上のメモリコントローラをCPU上に統合した「統合メモリコントローラ」、ボード上のチップ間通信を高速にし、インタフェース関連のボトルネックを解消する「HyperTransport」が挙げられた。

 「典型的な大企業データセンターは、プラットフォームやOSが多すぎてTCOを増大させている」(秋山氏)

 これに対し、データベース、コンテンツ配信サーバ、プリントサーバなど、さまざまな環境で、AMD64をベースにした1プラットフォームで実現するのがAMDの戦略。コンピューティング環境全体を簡素化し、TCO削減を促すという。

 Opteronでも、サーバ側ではこれまで、HPC(High Performance Computing)といった学術系での利用が中心だったが、今後はデータベースなど、商業分野での利用を拡大するという。

 また、この日は、AMDプロセッサの今後のロードマップが示された。

 サーバおよびワークステーション分野では、2004年の第2四半期には90ナノメートルプロセッサの1ウェイ版「Venus」、1-2ウェイ版「Troy」、1-8ウェイ版「Athens」がリリース予定。さらに、2005年には、「Egypt」「Italy」「Denmark」などが登場する。

 また、デスクトップでは、2004年第2四半期に130ナノメートルでAthlon XPの後継となる「Pans」、90ナノメートルでは、Athlon 64の後継「Winchester」、Athlon 64 FXの後継となる「San Diego」がリリース予定。2005年には、Pansの後継「Palemo」、San Diegoの後継「Toledo」がリリースされる。

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[怒賀新也,ITmedia]

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