コラム
2004/04/30 11:00 更新

国内代表者に聞くオープンソースの今:
「Webブラウザ」に限らない道を模索するMozilla、もじら組小沢英裕氏コラム

もじら組は、日本でのMozilla関連の情報発信源と書いてそれに異を唱えるものはいないほど有名なWebサイト。他のオープンソースプロダクトとの連携の強化など、「Webブラウザ」に限らない新しい道を模索している。

Linuxチャンネル連載「国内代表者に聞くオープンソースの今」。ここでは、オープンソースソフトウェア「Mozilla」を応援する日本のコミュニティ「もじら組」で活動されている小沢英裕氏にコラムを執筆いただいた。


Mozillaとは

 Mozillaは、一般には「ブラウザ」と「メーラー」であると言えます。しかし、実際は、(今のところ)Webページ作成ツールなど多種のツールを含んだ「インターネットスィート」です。

 1998年に当時のNetscape社は、開発中だったNetscape 5.0のソースコードをオープンにしました。ここから始まったのがMozillaです。結局ほとんどゼロからコードを書き直したため、エンドユーザーにとって使い物になるようになったのは、2002年6月にリリースされたMozilla 1.0のあたりだと思います。その後、派生ブラウザとしてFirefox、Camino、メール・ニュースクライアントのThunderbirdなどMozillaファミリーも増えてきています。

Mozillaの昨今

 2003年は激動の年でした。mozilla.orgの最大のスポンサーであったAOLが、原則として開発から手を引き、「Mozilla Foundation」というNPOが少ない資金で以降の開発を続けることになりました。その後、Mozillaのソースコードを大きく整理/再構築して、FirefoxとThunderbirdに開発を入れ替えるような発表がなされたものの、結局どっちつかずのまま現在に至っています。

 もともとは、mozilla.orgは開発コミュニティであって、エンドユーザーサポートのようなマーケティング的なことは、サードパーティでやってくれ、というスタンスでした。その一番のサードパーティがスポンサーのNetscapeです。しかし、Mozillaの開発母体としてのNetscapeはほとんどなくなってしまったため、Mozilla Foundationがマーケティングも含めて活動することになったのですが、まだまだ中途半端な感は否めず、前途多難であると言えます。資金的な足場を作るために、今まで事実上は自由にしていたところに急に商標権を持ち出すようなこともしています。そのため、今までに開発に協力してきたメンバーもやっていいことと悪いことがよく分からないような状況もあるのは事実です。Mozilla Foundation側も、これをうまく両立させるためにいろいろ苦心してくれているところです。

もじら組

 もじら組は、Mozillaの開発に協力しようとメーリングリストを中心に活動していたメンバーが集まって2000年に始まりました。私が言うのもなんですが、もじら組というのは正体不明です。その定義もなければ、誰がメンバーなのかという定義もありません。コミュニティでもあるはずですが、そう認識している人はあまり多くないようです。

 もじら組が結成された2000年当時は、まだMozillaはとてもエンドユーザーに使い物になるようなものではなく、当時もじら組を作ろうなんてメンバーは、開発に協力しようというメンバーだけだったと言っても過言ではないでしょう。現在まで続く主な活動は、日本語のバグ報告窓口を作ってmozilla.orgとの橋渡しをしたり、W3Cに準拠したWebページ作成の促進、ドキュメントの執筆、関連英語文書の和訳、BBSやメーリングリストなどでの情報交換が挙げられます。このほか、一年に一度開催されるMozillaイベントなどもあります。

 メンバーの顔ぶれは多彩で、ソースコードなんてこれっぽっちも読めないメンバーもばりばり頑張ってます。コアメンバーはとても少ないのですが、その割に活動範囲は広いと私は思っています。また、近年はマーケティング的な活動に興味のあるメンバーも入ってきたりしていますが、足並みはなかなか揃っていません。「Mozilla」というキーワードに集まっているだけのメンバーでは力不足なのかもしれません。

 つい最近になって、もじら組とは別にMozilla Foundationの日本支部設立の動きも出てきました。そういった組織とも連携することで、活動の幅が広がるのではないかと思います。

日本人の活動

 日本人、もしくはCJK(Chinese Japanese Korean)圏しか困らない不具合というのは、昔からどのソフトウェアにも多かれ少なかれあることですが、Mozillaでもそれらはなかなか解消されない傾向にあります。

 Windows版のMozillaをGlobal IMEに対応させたなど、日本人の貢献もこれまでに少なからずありましたが、まだまだ日本人が活躍できるステージは多く存在しています。特に、国際化関係では、別段腕利きの技術者でなくても、時間さえかければ直せるような不具合がいくらも残っている状況です。最近は、国際化関係の不具合修正の部分は韓国系の開発者が頑張っているようです。悲しいかな、ブラウザとしてそこそこ使えるようになってきて、かつ「ブラウザ」というプロダクトだけとして見た場合に、これから発展する余地をあまり感じられないというのはあるのかもしれません。

Mozillaの今後

 MicrosoftはInternet Expolorerの開発をほとんど止めるかわりに、ファットクライアントとしてMicrosoft Officeを強化しようとしています。それと比べると、実は今のMozillaも、Webサービスに関係する技術もいろいろ実装されているなど、ファットクライアントとしてはなかなか面白いソフトだと私は思っています。また、最近では、他のオープンソースプロダクトとの連携の強化など、「Webブラウザ」に限らない新しい道を模索しています。Mozillaの未来というのは、正直私もよくわかりませんが、Mozillaが普及することで実現することというのは、まだあるのではないでしょうか。

関連記事
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関連リンク
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[小沢英裕,ITmedia]

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