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2004/05/14 20:41 更新


プリントアウトの「出自」チェックで情報漏洩防止、沖電気がデモ

沖電気工業はIPAX Spring 2004の会場で、紙文書経由での情報漏洩を防ぐプリンタシステムのデモンストレーションを行った。

 沖電気工業は5月14日まで開催されたIPAX Spring 2004の会場で、紙文書経由での情報漏洩を防ぐためのプリンタ技術を紹介した。

 昨今の個人情報漏洩事件を受けて、多くの企業がデジタル文書/データの漏えい防止を図るための製品を発表、提供している。中には、アクセス制御や暗号化を通じて、CD-RやUSBキーといったリムーバブルストレージ経由での情報漏洩防止を図る製品も存在するが、紙媒体での情報流出については対応が困難だった。

 沖電気が紹介した情報漏洩対策プリントシステムでは、文書の印刷と同時に、その文書が「いつ」「どのプリンタから」印刷されたかを示す情報を地紋としてプリントする。後からその文書をスキャンすれば、当該文書の「出自」を把握できるという仕組みだ。日時以外にも、印刷を行ったPC名やそのときのユーザー名などを刷り込むことができる。これらの情報は、OSからドライバ経由で取得される。

デモの模様

文書をスキャンすれば、いつどのプリンタで印刷されたかが把握できる

 このシステムは、沖電気が独自に開発、事業化している「Val-Code」技術を活用したもの。Val-Codeは、微細なドットパターンから構成されるデータを地紋として文書とともに印刷しておき、その解析を通じて改竄の有無などを検出するという仕組みだ。一定の解像度以上のプリンタとスキャナさえあれば利用でき、文書フォーマットに制約がないことなどが特徴である。既にこの技術を利用して、電子文書に改竄が加えられていないかどうかを検出する「TrustPaper SDK」が発表されている。

 Val-Codeで埋め込まれた印刷元に関する情報は、コピーを繰り返しても残るため、繰り返しコピーされた文書からでも最初の情報流出元を把握できる。また、地紋の情報は繰り返し印刷されるため、ペンを用いての改ざんや地紋の塗りつぶしといった工作は無意味という。

 このシステムを通じて、「プリントアウトされた文書を通じての情報漏洩に対し、抑止効果を実現したい」と同社は説明している。

 沖電気ではTrustPaper SDK同様、開発キットの形でこの製品を提供し、情報漏洩対策ソフトウェアやセキュリティ製品への組み込みを目指す方針だ。価格等は未定だが、8月ごろの製品化をめどに開発を進めるという。

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[高橋睦美,ITmedia]

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