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2004/05/24 19:32 更新


WAN帯域の問題を解決する、ペリビットネットワークスの日本法人設立

企業のWAN回線の最適化製品を提供している米Peribit Networksは5月24日、日本法人となるペリビットネットワークスジャパンを5月1日付けで設立したと発表した。

 米Peribit Networksは5月24日、日本法人となるペリビットネットワークスジャパンを5月1日付けで設立したと発表した。

 同社は、独自のネットワークトラフィック圧縮技術で、2001年9月から企業のWAN回線を最適化する製品を提供している新興企業。Peribitのジェフ・グラハム社長兼CEOによれば、ワールドワイドでは500社以上の顧客を抱え、そのうち200社はここ半年間で獲得するなど急成長を見せている。日本では昨年から、住商エレクトロニクス、インターネット総合研究所の2社が国内販売を手がけ、現在15社が採用している。

ジェフ・グラハム氏

「帯域幅、QoS、遅延といった3つの視点から製品を提供する点が市場でユニークだ」とグラハム社長


 グラハム社長は設立発表で、「WAN回線がITのボトルネックとなっている状況を変える。WANをLANのごとく使用できるようにするのが当社のミッションだ」と説明する。ワールドワイドで見ても帯域の単価は下落傾向が続いているものの、国際回線のコストは依然高く、巨大な競合企業もまだいない。このため、成長の余地がある分野だと見ている。日本法人の代表取締役社長に就任した末松英明社長も、「日本市場は見た目ではADSLなど安価なアクセス回線が普及しているが、企業はまだ専用線を利用している状態」と話し、WAN帯域ソリューションに関する同社の優位性を強調する。

 同社の強みは、現在米国で特許出願中のトラフィックパターンマッチング技術「MSR」(Molecular Sequence Reduction)、QoS、遅延最小化技術「PFA」(Packet Flow Acceleration)の3つの技術を組み合わせ、WAN回線で起こりがちな帯域の問題を総合的に削減できる点だ。独自のパターンマッチングアルゴリズムを利用して無駄な反復データを識別・除去するMRS技術で帯域を拡張し、QoSによってアプリケーションの競合を解消。さらにTCPベースの通信でのWAN待機時間の非効率を解消することでレイテンシを削減するPAFを適用する、手法をとる。

 「QoSベンダーは帯域の管理を提案するが、当社はワンボックスでWAN帯域を拡張し、アプリケーション競合の問題を軽減、遅延を最小化する」とグラハム社長。同社製品導入企業500社の統計結果からは、MRS技術を適用するだけで、平均75%(ピーク時90%)程度の帯域を節約でき、PFAを併用することでさらに応答時間を3〜5倍短縮できるという結果が出ているという。

 同社は現在、小規模から大規模向けのアプライアンス製品「SR-20、50/55、80」を提供している。日本法人を指揮することになった末松氏は、エクストリームネットワークスの営業本部長、ファウンドリーネットワークスの日本セールス担当副社長など15年以上ネットワーク業界にかかわってきた。「ベンダーの人間が日本にいるということが日本市場では大切だ。日本特有のマーケットニーズを本社に伝えていく」と挨拶した。

日本法人社長の末松秀明氏(左)

左から米Peribitのグラハム社長、アミット・シンCTO、日本法人社長の末松秀明氏


[堀 哲也,ITmedia]

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