法的取り組みが活発化した2010年度第1四半期のセキュリティ動向
F-Secureが発表した2010年度第1四半期におけるセキュリティ動向の総括によると、サイバー犯罪に対する法的取り組みが世界的に活発化し、サイバー犯罪者の逮捕が増加しているという。
フィンランドのF-Secureは5月12日(現地時間)、2010年度第1四半期におけるセキュリティ動向の総括を発表した。F-Secureのセキュリティ研究所でCRO(主席研究員)として活動するミッコ・ヒッポネン氏と同研究所副所長のショーン・サリバン氏による総括がYouTubeで閲覧できる。
この総括によると、2010年に入って、国境をまたぐサイバー犯罪者が逮捕されるなど、世界的にサイバー犯罪を取り締まる法執行が活発化しているという。これまで、サイバー犯罪者が逮捕/起訴され、法的制裁を受けるのは非常にまれなケースだった。
TJ Maxxなど米国大手小売店のレジの認証システムの無線LANをクラッキングし、何千万ものクレジットカードの記録を盗んだアルバート・ゴンザレスが、2010年3月に懲役20年の実刑判決を受けたのは記憶に新しい。これは、これまでのサイバー犯罪関連の事件で下された実刑の中では、最も重い判決だという。
そのほか、英国で約5年の懲役判決を受けたレーヌ・サブラマニアム(JiLsiという名で知られる)、エストニアで2年7カ月の懲役判決を受けたポリモルフィック(多形的)ワーム「Allaple」の作者、アルトゥール・ボイコなどのケースもこれに類するものだ。
また、ルーマニアでは、ロシア当局の協力で、70名を超えるフィッシング詐欺組織が一斉摘発された。ロシアは、サイバー犯罪者が身を隠す、安全な避難所としてみなされることが多かったため、この一件はセキュリティ業界で大きな話題となった。
こうした動向を受け、ヒッポネン氏は、「サイバー犯罪は、もはやこれまでのようなリスクフリーのビジネスではない。司法がサイバー犯罪に追いつき始めており、いずれこのようなニュースが日常化するのも時間の問題だろう」とコメントしている。
関連記事
- Allapleウイルスの作者に判決
ポリモルフィック(多形的)ワーム「Allaple」の作者、44歳のアルトゥール・ボイコ氏に2年7カ月の懲役が言い渡された。彼にとってDDoS攻撃の対価は、非常に高くついた。 - 企業ID窃盗
オンライン犯罪者たちは、自分たちの詐欺に人々を引き込むため、既存企業のブランドを利用することもある。個人だけでなく、企業にもID窃盗は起こるという当たり前だが見過ごされがちな事実について、わたしたちは注意を払うべきである。 - これはあなた? Twitterアカウントをフィッシングする意味とは?
Twitterに対するフィッシング攻撃は新しいものではない。ただ、攻撃者は自分たちのSEO攻撃を強化するため、ソーシャルネットワークの信用を利用しているのだ。 - サイバー犯罪の被害を防ぐには統合セキュリティソフトが近道
PCを狙う新たなサイバー犯罪の手法が日々出現しており、対策強化には多層的な防御手段を提供する統合セキュリティソフトの利用が近道であるようだ。 - フィッシング詐欺を防ぐブラウザの実力、対策協議会が調査
国内で増加するフィッシング詐欺を防ぐための取り組みをフィッシング対策協議会が紹介した。 - 国内でも急増するフィッシング詐欺、対策は?
正規サイトに似せた不正サイトで個人情報などを盗み出すフィッシング詐欺が急増している。国内協議会が対策などを説明した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.