村田学園の情シスを救ったシンクライアントの威力――40台のPC設定、3日から3分に(2/2 ページ)
情シススタッフが少ない教育現場では、いかにPCの運用管理の手間と時間を軽減できるかが重視される。村田学園ではシンクライアントを採用したことで、運用の飛躍的に楽になったという。
管理の手間が3日から2〜3分に
仮想デスクトップサービスを選定するにあたって重視したのは、動作の軽快さだ。「過去にWindows Serverのリモートデスクトップも試したが、Office 2003を使っていた頃はよかったものの、Office 2007やOffice 2010を使うようになると、動きが重く遅くなってきてしまった」(藤井氏)と振り返る。40人の生徒が一斉に接続するとなると、どうしても動きが遅くなってしまう。
そして、最終的に選んだのはシトリックスのXenAppだった。「例えばリモートデスクトップの転送プロトコルであるRDP(Remote Desktop Protocol)は当時、画面を転送するのに1クライアントあたり7Mbpsくらいの帯域が必要だった。これがXenAppは1Mbpsほどで済み、1クラス40人が一斉に使ってもPowerPointを全画面で使っても大丈夫だったので採用を決めた」(藤井氏)という。
シンクライアントOSについても、決め手となったのは動作の軽快さだ。国内外のさまざまなメーカーの製品を比較検討した結果、起動が速く、容量が少ないWyse ThinOSを選んだ。
「シンクライアントOSは当時、容量はコンパクトなものも多かったが起動速度はどれも遅く、どれにするか決めかねていた。Wyseは起動が速く、OSの容量も5Mバイト程度。サーバにOSを1つ置いておき、更新をかけるとWyseのシンクライアント端末がすぐに更新されるので、作業時間の軽減につながった」(藤井氏)
Wyse ThinOSの導入により、それまでイメージの作成からテストまでに3日くらいかかっていた1教室分(クライアント端末約40台)の作業が、2〜3分ですむようになったという。
ほかにも、最新OSが安定していないときに元のバージョンに戻しやすい点、クライアント端末のハードウエア構成が異なっていても同じ1つのイメージファイルで起動できる点が運用・管理のしやすさに貢献していると藤井氏は話す。
「例えば40台のクライアント端末を何年も運用していると、そのうち数台は故障する。異なる機種が混ざると、グラフィックボードやサウンドボード、ネットワークボードなどの構成が違ってくるので同じイメージファイルで起動できなくなってしまう。そうすると複数のイメージを用意しなければならなくなる恐れがある。
Wyse ThinOSは、新旧機種が混在しても問題なく起動し、設定ファイルをいじる必要もない。40台のうちの何台かが壊れたとしても、最新の端末を買い足して運用できるのは大きなメリットになる」(藤井氏)
教育で重要なのは、いかに学生にとって最適な学びの環境を用意するかであって、IT機器の管理に振り回されてそれがおろそかになるのでは本末転倒だ。
「授業の準備が格段に速くなって、前期から後期へ移る際の夏休み中の準備の設定も楽にできるようになった。大人数の授業をやっていても、ストレスのないスムーズな学習環境を提供できる」――。こう話す藤井氏は、仮想デスクトップとシンクライアントの導入が学生と管理する学校側の両方にとって最良の選択だったと確信しているという。
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