アップルとの協業に注力するIBMの思惑:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業向けモバイルサービスで2014年7月に業務提携を発表したAppleとIBM。その進捗について日本IBMがこのほど説明した。そこから見えてきたIBMの思惑とは――。
業種特化型アプリケーション群を日本でも本格投入
日本IBMが4月14日、米Appleと米IBMが昨年(2014年)7月に発表した企業向けモバイルサービスでの業務提携の進捗と、両社が共同開発を進めているiPhone/iPad向けの業種特化型アプリケーション群「IBM MobileFirst for iOS」の日本市場での展開について記者説明会を開いた。
日本IBMのキャメロン・アート取締役専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス(GBS)事業本部長は両社の協業について、「IBMがこれまで培ってきた顧客支援の経験やコンサルティング、バックエンドとフロントエンドのシステム統合などのノウハウと、Appleが培ってきた美しいユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験)やエレガントなデザインを融合することで、業種それぞれの課題を解決する製品やサービスを提供できるようになる」と説明した。
また、MobileFirst for iOSについても「両社のノウハウを結集し、企業にとってよりシンプルで使いやすいモバイルアプリケーションを追求していく。さらにビッグデータ分析などによって企業の潜在的なパワーを引き出し、ビジネスモデルの変革をも支援するソリューションを提供していきたい」(アート氏)との意気込みを語った。
MobileFirst for iOSについては、米IBMがこれまでに22種類のアプリケーション(英語版)をリリースしており、2015年末までに100種類以上に拡充する計画。日本でも、日本IBMがこのほど7種類の日本語化を完了し、販売に乗り出した。
日本IBMの藤森慶太GBS事業本部モバイル事業統括部事業部長は、MobileFirst for iOSの日本での事業展開について、「米国での提携発表以来、日本でも専門部隊を設けて両社の日本法人の技術者やデザイナーが協業するなど、急ピッチで事業体制を整備してきた。4月2日には千葉・幕張事業所内にアプリケーションの開発や運用におけるテストを行える施設も開設した。いよいよ日本語対応のアプリケーションを投入したことから本格的な営業活動を行っていく。すでにさまざまな業種の顧客に向けて、コンサルティングやカスタマイズの要望に沿ったアプリケーション開発を進めている」と進捗状況を説明した。
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