リコーのIT戦略を“攻め”に変えたBIと情報活用の力: 「君らはいらない」と言われたあの日から(2/3 ページ)
リコーがITによる経営・業務革新のための新組織「経営革新本部」を発足し、部門を横断したBIと情報活用の強化を急速に進めている。この背景に、このままでは必要とされなくなるというIT部門の強い危機感があった。
課題と対策:現場の業務改善を「情報の切り口」から総合支援
経営革新本部がまず着手したのが、Lotus Notes(現IBM Notes)による部門内システム/エンドユーザーコンピューティング(EUC)をやめ、現場と連携した業務プロセスやルールの再設計(BPR)の推進に舵を切ることであった。
リコーではこれまで、Notesを現場主導の業務改善策に用いることで、ペーパレス化やコストダウンの推進など多くの成果を上げてきた。ただ近年は、弊害も目に付くようになってきた。課題は以下の3つだ。
- Notes DBの個別最適化によって、業務プロセスの複雑化を招いていた
- 開発や維持が「人」について回り、社員の異動によりNotes環境がブラックボックス化しがちだった
- 大型案件も外部委託によってNotesで構築していたため、開発コストが増していた
「これらの課題をふまえ、EUCにおける現場の取り組みを経営改革本部が肩代わりするという合意が形成されました。目指したのは、データを基に現場が業務のPDCAサイクルを迅速に回せる環境の実現です」(國元氏)
目標達成に向け、2013年からデータ活用に向けた総合相談窓口となる「データコンシェルジュ」や、高度な分析/提案体制のための「データサイエンティスト」、データを可視化するための「データ活用環境」、データウェアハウス(DWH)/セントラルウェアハウス(CWH)による「情報活用基盤」の4つの育成と整備に着手した。このうち、データ活用環境のために同社が採用したのがアシストの「QlikView」である。レスポンスの速さと画面作成のしやすさ選定の決め手になった。
リコー 経営革新本部 設計・情報活用グループの横田博氏は、このデータ活用環境フレームの狙いを次のように説明する。
「既存のBIツールは、レスポンスを高めるためにデータマートの整備が必要です。しかし、集計軸の設定は困難でたいへん作業でもあります。インメモリを採用したQlikViewならば、マート不要で高速なレスポンスを実現できます。しかも画面設計に高度なスキルを必要とせず、工数と時間も削減できると見込めました」
これらをふまえ、同社では定型リポートの作成は既存のBIツールを使いつつ、レスポンスを重視する非定型な分析にはQlikViewを使い分けて効率を追求している。
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