通勤ラッシュで事件発生、リスク管理の重さを思い知る朝……:女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(2/3 ページ)
なんだか頭にすっと入ってこないなぁ〜、プロジェクト・リスク・マネジメントの項……朝の通勤ラッシュの中、そんなことを考えていたら大事件発生!! リスク管理の大切さを思い知るハメに……。
ないというのは、スマートフォンのことじゃない。スマートフォンに付いていたストラップがないのだ。いや、もっと正確にいうと、スマートフォンケースに付いていたストラップがない。どこかに落としてしまったのか?
スマートフォンとストラップはひも状のものでつながっていて、ひもの先の丸カンにお気に入りのマスコットがついていたのだが、今、スマートフォンについているのはひもだけ。丸カンごと、マスコットがないのだ。どうしたんだろう。カバンの中を探してみよう。
わたし うーん……ない。お気に入りだったのにぃー。
私にとっては電車が止まったことなんかより、マスコットがないことのほうがショックだった。カバンの中をさらに探す。朝、自宅でカバンに入れる時は確かについていた。それは間違いない。カバンからスマートフォンを出し入れしている間に落としたのか? でも、自宅を出てからスマートフォンを取り出したのは、今が初めてのはず。カバンをひっくり返して探そうにも、満員電車の中で探すのは限度がある。まだカバンの中に紛れ込んでいる可能性は残されているけれど、朝からちょっとショック。
わたし そういえば、時々、外れていたっけ。丸カン、弱くなっていたのかなぁ。これって、予兆があったにもかかわらず、リスク管理ができていなかったということか?
これは、ちゃんとリスク・マネジメント計画を立てなさいという神様のお告げなのか? 今回は、そういう風に前向きに受け止めることにしよう。
ふと気が付くと電車はいつも通りの速度で走り始めていた。車内放送では5分の遅延が発生しているようだ。5分なら何とかなるな。すっかり勉強する気が失せてしまったので、知識エリアマッピングの図とスマートフォンをカバンにしまった。
マイナスのリスクと……プラスのリスク!?
その日の昼休み。カバンの中を探ったけれど、結局、マスコットは出てきてくれなかった。マスコット家出事件(?)の影響を受けつつも、コーヒーを飲みながら参考書を開く。
「プロジェクト・リスクとは、発生が不確実な事象または状態であり、もし発生した場合は、スコープ、スケジュール、コスト、品質などの1つ以上のプロジェクト目標にプラスあるいはマイナスの影響を及ぼす」という文章が目に飛び込んできた。
わたし そういえばリスクって「プラスの影響」もリスクって呼ぶのよねぇ。
リスクについて学習をし始めた頃、意外に思ったことの1つだ。例えば、海外旅行に行く際、円高になったらうれしい。1ドル90円なら、9万円で100ドルになる。しかし、円安になると悲しい。1ドル110円なら、100ドル用意するのに11万円必要だものね。為替は毎日のように変動するから、お高いカバンを今日買うか明日買うかで単価が違ってきたりするよね。
一般消費者の私とって、為替相場は海外旅行時のリスクの1つに違いない。どう転ぶか分からない為替相場のような事象を総称して「リスク」と呼ぶ。プロジェクトの場合、プロジェクトに良い影響を与えるリスクはプラスのリスクとなる。逆にプロジェクトに悪い影響を与えるのがマイナスのリスクとなるわけだ。
この2つのリスクを効果的に発生させたり発生しないように予防処置をしたり、あるいは発生してしまった場合に対処したりするための活動計画がリスク・マネジメントの計画プロセス群である。
参考書のアウトプットの欄を見ると、「リスク・マネジメント計画」プロセスのアウトプットは「リスク・マネジメント計画書」「リスク特定」プロセスのアウトプットは「リスク登録簿」となっている。「リスク・マネジメント・計画書」はいつも通り、リスク対策をどのようにしていくか、という方向性を決めるもので、「リスク登録簿」は想定できるリスクを特定し、実行可能な対策を列挙したものだ。
今朝のマスコット家出事件を例に考えよう。この場合のリスクとは、「ストラップのマスコットをなくすかもしれない」ということだ。丸カンが弱って、マスコットがはずれることを何度か経験したり、その間隔が短くなっていたりしたら、それは、発生確率が上がっていることになるのよね。発生確率のことは当然? PMBOKでも扱っているんじゃないかなぁ。
あったあった。定性的リスク分析のツールに「リスク発生確率・影響度査定」というものがある。このマトリクスは、発生確率と実際に発生した時の影響度により等級をつけるものだ。
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