“チャット”をのぞき見させないためには:半径300メートルのIT(2/2 ページ)
年始から世間を賑わせた芸能ニュースではSNSの赤裸々なやり取りが注目されました。ここで注意したいのは「機種変更」ですが、それはなぜでしょうか。
バックアップデータと古い端末も「メイン端末と同等に重要」
今回の一件は、バックアップされたデータが「今のスマートフォンの全て」と同等の重要性を持つことを教えてくれます。さらに、機種変更したあとの古い端末に入っている情報もしっかり管理すべきであることも教訓として学んでおきたいところです。もし古い端末を他人にあげるとしたら、確実に初期化をしなければならないことが分かります。特に今では写真の保存もクラウドで行うことが当たり前のようになっています。写真は会話以上にセンシティブですので、リスクも大きいでしょう。
今回の件は、もし悪意を持って古い端末を奪ったとき、そのことを把握する手段がほとんど無いというのが実情です。もしこれが「機種変更をするために、新しく買った端末に復元し、古い端末はそのままにした」というシナリオならば、おそらく二重ログインを警告するメールも無視していたでしょう。Facebookなどでは全ての端末から強制的にログアウトする機能などもありますが、これを定期的にやりましょう、というのはさすがに非現実的です(図2)。
今回のような事象を見ると分かりますが、サービスには仕様上の「穴」がないとは言い切れません。高い技術を持って「ハッキング」的なことをしなくてもこのようなことが起きえることは覚えておきましょう。いま私たちにできることは、「バックアップを行う」「バックアップデータを管理する」「他人に端末を譲渡するときは確実に初期化する」などの基本を守ることです。
情報を知るものと、情報を知らないものの間でしか争いは起きえません。IT技術に詳しくなり、裏でなにが行われているのかを詳細に知る必要はありませんが、自衛のため、セキュリティへの関心だけは忘れないようにしてください。
著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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