いま流行っている攻撃は? パロアルトネットワークスが情報提供を強化
セキュリティの脅威動向を研究している「Unit 42」の拠点を日本も設置し、最新情報や対策情報などを提供していく。
セキュリティ企業のパロアルトネットワークスは6月7日、同社でセキュリティ脅威動向などの研究を手掛ける組織「Unit 42」の活動拠点を国内に設置したと発表した。併せてセキュリティ情報を発信する「CSO Japanチーム」を発足させた。
Unit 42は、サイバー攻撃の技術や戦術、動機、対策手法など脅威に関する調査研究を手掛け、米国や欧州・中東、アジア太平洋地区の企業顧客やセキュリティ関連機関、コミュニティーなどに情報を提供している。日本拠点ではこうした成果を国内向けに提供するほか、国内の脅威動向を世界に発信したり、関連機関と共有したりしていく方針だという。
日本の同チームのインテリジェンスアナリストには、外資系セキュリティ企業で15年以上にわたってマルウェア解析などを指揮した林薫氏が就任した。
林氏によれば、直近の6カ月をみると日本で観測されるマルウェア攻撃の規模は世界のトップ10に入り続けており、日本はサイバー攻撃の危険に絶えずさらされている状況だという。特に2016年に入ってからは、従来のオンラインバンキングの不正送金を狙うマルウェア攻撃に代わって、ランサムウェアによる身代金要求攻撃が台頭している。
ランサムウェアは、ファイルを勝手に暗号化するなど手口としてはシンプルだが、世界中で通用すること、また、攻撃者の素性を知られることなく金銭を得られる。一方でオンラインバンキングを狙う攻撃は、標的ごとに手法をカスタマイズしたり、法執行機関などに追跡されやすかったりする。このため攻撃者は、簡単かつ自身を危険にさらすことなく金銭を獲得できるランサムウェア攻撃に軸足を移しているという。
同日発足させた「CSO Japanチーム」は、Unit 42の成果など同社が有するセキュリティの知見を国内向けに提供し、日本のセキュリティ対策の強化を支援するのが目的となる。セキュリティ最高責任者には、防衛省出身で海外の大学やシンクタンク、内閣サイバセキュリティセンターなどでセキュリティ対策を担当した松原実穗子氏が就任した。
松原氏は、「これからのセキュリティ対策では脅威を未然に予防していくアプローチが求められるため、これまでの経験を生かして日本のセキュリティ対策に貢献したい」と語った。
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