いいプロマネになるために、己に正直であれ:プロマネ1年生の教科書(1/2 ページ)
優れたプロマネは、自らの考え方や行動を支える土台もしっかりしているものです。プロマネになりたてという方は、特に今がちょうど自らのキャリアを振り返る時期とのこと。その理由と方法とは……?
連載:プロマネ1年生の教科書
現代のプロジェクトマネジャーは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かない」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。
前回まで、数回にわたって「決定した内容をどのように守らせるか」という切り口で、納得感を生み出す手法についてご紹介しました。「決める」というのは、プロマネの大切な仕事です。決定事項が間違っているかどうかは、やってみないと分かりません。走ってみて間違っていたら、軌道修正すればいい話。一番良くないのは「決められない」ことなのです。
対人スキルに優れたプロマネが使いこなす7つのスキルを紹介する本連載。今回から最後の「自身の考え方や行動を支える土台を作るスキル」に移ります。
目の前のプロジェクトやチームだけではなく、自分が今後どう成長していきたいのか、どのようにキャリアパスを描いていきたいのかなど「自分の軸」を考えること――これは一見プロジェクトの成功と関係ないように見えますが、実はとても重要なポイント。自分を大切にしながらビジョンを立てられるプロマネにこそ、人はついてくるものだからです。
そもそも「キャリア」ってなに?
自分の軸を考えることは、自身の成長のみならず、今後の働く人生を設計し「キャリアの成功」を実現するために役立ちます。
皆さんは「キャリア」と聞いたときに何を思い浮かべるでしょうか。簡潔に説明すると「職務経歴であり、仕事に対する自己イメージ」です(『キャリアデザイン入門』より引用、著:大久保幸夫)。そう、この言葉には2つの側面があるのです。
1つは客観的な視点で、いつ、何をやってきたかという「職務経歴書」的な側面。そして、もう1つは主観的な視点で、その時々でどのように感じ、心が揺らぎ、悩んだかといった「自分は何者かを考える」側面です。ここでいうキャリアの“成功”とは、「自己イメージと照らし合わせた基準で、フィット感や楽しみがあり、高い成果を出せる職業人生」を実現している状態のことを指します。
しかし、日々忙しく活動しているプロマネは、自分を振り返り、これからを考える時間が取れないこともあるでしょう。特に現代はキャリアを成功させるためのデザインを各自が行う必要があります。会社や社会に過度な期待はできません。自分自身の大切なキャリアだからこそ、定期的に振り返る時間を確保することが重要です。
振り返りを行うことで、自分の価値観や大切にしたい考えなど「自己概念(Selfconcept)」が明確になります。つまり、自分が本当に望んでいる仕事、充実感を得られる仕事が何かを発見しやすくなるのです。
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