対人スキルに優れたプロマネが使いこなす“7つ道具”:プロマネ1年生の教科書(1/2 ページ)
プロマネは「人間に関するプロフェッショナル」といわれており、他者とうまく交流できる行動や考え方、スキルを持つことが、優秀なプロマネに近づくための要件と言えます。こうした資質は大きく7種類に分類できます。
昔よりも「プロマネ業務が難しくなっている」といわれる現代において、プロマネにどういう資質が求められるのか。前回の記事で、それが部下や周囲の力を上手に活用してチームを目標達成へと導く“影響力”だとご紹介しました。これは決して天性の才能というわけではなく、知識と訓練で身に付く部分がほとんどです。
今回からはプロマネ(やリーダー)がその影響力を発揮し、プロジェクトやチームで活動するときに知っておくべき考え方やスキルに触れていきますが、スキルの話をする前に、いま一度「プロジェクトマネージャー」がどういう職業なのか振り返ってみようと思います。
優れたプロマネが使いこなす、7つのスキル
プロジェクトマネジメントを推進する、米国のプロジェクトマネジメント協会(通称:PMI)は、「プロジェクトマネージャーとは“人間志向の専門職業”である」と掲げています。医師や弁護士のように、プロマネも専門性を持ち、高い倫理観で活動する尊敬に値する職業ということです。だからこそ、難しいのは当たり前、高い成果を求められて当たり前。でも、大きなやりがいも他者に貢献する喜びも、実感できる素晴らしい役割といえるでしょう。
PMIが“人間志向”と示す通り、プロマネは「人間に関わるプロフェッショナル」です。つまり、他者とうまく交流できる考え方や行動、スキルを持つことが、優秀な(理想の)プロマネに近づくために必須の要件と言えます。こうしたスキルはさまざまなものがありますが、大きく7つの方向性に分類できます。
1:柔軟な心を持つスキル
プロジェクトを遂行していく中では、日々さまざまなことが起こります。その時々でプロマネがどう振る舞うかでメンバーのモチベーションや、ステークホルダーのプロジェクトへの関心度が変わっていくでしょう。
まずはプロマネとして、どのように心を整えれば、プロジェクトをスムーズに運営できるかをおさえることが大切です。
2:バラバラのメンバーをまとめるスキル
年齢やバックグラウンド、雇用形態など、プロジェクトに関わるメンバーは多様性に富んでいるのが一般的です。この多様なメンバーに同じ方向を向いてもらい、目標に向けて仕事に集中させていくのがプロマネの仕事です。そのための手段を知り、愚直に実践することが必要とされます。
3:情報の取り扱いに気を付けるスキル
マネージャーとして判断を誤らないために、判断を支える“情報”の取り扱いに注意しなければなりません。情報と言っても、技術的な知識やメンバーの心理状況など、その種類はさまざまです。
情報の取り扱いは、大きく「情報収集」と「情報整理」の2種類に分けられます。各情報は濃さも深さ、影響範囲もバラバラですが、上手に情報を収集し、発信するためにどんな工夫ができるのか。また、整理した内容から問題を発見するにはどんなフレームワークが使えるかなど、まずは知識として持っておくとよいでしょう。
関連記事
- プロマネに“向かない人”っているの?
現代のプロマネは、昔よりも難しくなっているといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分はプロマネに向かない」と自信を失う人もいるかもしれません。では、そもそもプロマネが発揮すべき資質やリーダーシップとは何なのでしょうか。 - チームは“生もの”、管理しないとすぐ腐る
「ただの仲良しグループ」も「ギスギスした関係」も超え、やっとチーム内の雰囲気が安定してきたと思ったのに、それでもパフォーマンスが上がらない。ですが、ここで諦めてはいけません。ここからがリーダーとして正念場といえるでしょう。 - ただの“仲良しグループ”は“チーム”ではない
チームのリーダーとして、「チーム内今どのようなコミュニケーションがされているか」という点に意識を向けたことはありますか。一見衝突がなく、和気あいあいとしているように見えても、それはチームとしてベストな状態ではないのです。 - リーダー、プロマネが知っておくべき「会議のキホン」
会議の決定事項に取り組まない部下がいる……。そんな悩みを抱えたことはありませんか。今回はリーダーが知っておくべき「会議運営の基本」を大解説。ダメな会議は非効率なばかりか、部下のモチベーションを大きく下げてしまうのです。 - 部下の“放置プレイ”が一番マズい――「コミュニケーション飢餓」の恐怖
相手とのコミュニケーションでミスをしてしまったらどうしよう……。そう思って、部下や同僚とどう接していいか分からなくなった経験はありませんか? しかし、コミュニケーション不足も大きな「失敗」。もっと大変な状況に陥る可能性もあります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.