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国際科学技術財団、「日本国際賞」にRSA暗号開発のアディ・シャミア氏を選出
RSA暗号の開発者の一人として知られ、情報セキュリティに不可欠な暗号分野での貢献を評価した。
国際科学技術財団は2月2日、2017年の「日本国際賞」の「エレクトロニクス、情報、通信」分野の受賞者に、イスラエル・ワイツマン科学研究所のアディ・シャミア博士を選出したと発表した。
シャミア氏は、1977年にロナルド・リベス氏およびレオナルド・エーデルマン氏とともに、公開鍵暗号方式のRSA暗号を開発した。機密情報を分散保存する「秘密分散法」や、秘匿情報に触れることなく個人を特定する「個人識別法」の開発、共通鍵暗号を解読する「差分解読法」の発見などの業績で知られる。
同分野の審査委員を務める大阪大学大学院 情報科学研究科の藤原融教授は、シャミア氏の選出について「現代の情報セキュリティに欠かせない暗号技術の先進的な研究に長年取り組み、学術分野としての暗号学を確立した功績をたたえた」と説明した。
日本国際賞は1985年に始まり、科学技術の進歩に大きく貢献した科学技術者を顕彰する。「物理・化学・工学」および「生物・農学・医学」の2領域から毎年1分野が選ばれ、1分野につき原則として1人を選定する。2017年は「エレクトロニクス、情報、通信」分野と「生命科学」分野が設定され、生命科学分野の受賞者には「クリスパー・キャス」と呼ばれるゲノム編集機構を解明した仏マックス・プランク感染生物学研究所のエマニュエル・シャルパンティエ博士と、米カリフォルニア大学のジェニファー・ダウドナ博士が選出された。
2017年の授賞式は4月19日に東京・国立劇場で行われる。
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