サポート終了の悪夢再び? 3年後に迫るWindows 7のEOSで起こること:Microsoft Focus(2/2 ページ)
2020年のWindows 7の延長サポート終了を前に、Windows 10への移行に際して企業に求められる移行計画のポイントとは? Microsoftは、導入後のWaaSによる継続的更新の仕組みへの理解を推進する。
継続的に最新化されるITインフラへの移行という“大手術”
実はWindows 10への移行は、Windows 7などへの移行に比べて、さらに大きなハードルが存在する。それは、かつてのように単にアプリの互換性を維持するといった問題では済まず、仕組みやルールの変更という、企業のIT導入にとって“大手術”を施す必要があるからだ。
MicrosoftはWindows 10において、WaaS(Windows as a Service)と呼ぶ新たな考え方を採用している。
WaaSの基本的な考え方は、Windows 10をベースに新たな機能を追加していくというもので、これまでのように数年に1度、新たなOSに大きくバージョンアップするということはない。より頻繁に、小さな改善を積み重ねていく仕組みを採用。これによって、最新機能や最新のセキュリティ対策が可能になる。Windows 10が最後のバージョンといわれているのもそのためだ。細かくアップデートするのは、iPhoneやiPad、Androidでは常識となっている仕組みであり、それをWindowsの世界にも持ち込んだものともいえるだろう。
だが、常に最新のOSを利用することを前提としているため、Microsoftが提示するライフサイクルに合わせて機能強化が進められる。利用者は、それに合わせてITシステムを変更しなくてはならないというわけだ。これまで企業ユーザーは、独自のサイクルで機能強化を進めてきたが、この前提が崩れることになる。
日本マイクロソフトでは、「Windows 10への移行とは、言い換えれば継続的に最新化されていくITインフラへの移行であり、従来とは異なる考え方やアプローチが必要になる部分が出てくる」とし、「どのような形で、どんなアップグレードが、どのような頻度で行われるのかを理解しておく必要がある。また、すぐに対応できることとできないことが出てくること、半年に一度のペースでアプリの互換性検証をいかに効率的に行うかといったことを考慮しなくてはならない」と指摘する。
Windows 10には、4つの更新モデルが存在する。2017年4月11日にはCreators Updateが予定されているが、こうした半年に一度の大型アップデートによる機能追加のタイミングは、ユーザー企業が更新モデルを選択することで変えることが可能だ。
具体的には、機能追加の受け取り時期を早める「Insider Preview(IP)」、4〜8カ月間隔でOSの機能追加を行う「Current Branch(CB)」、機能追加の受け取り時期を4カ月間遅らせる「urrent Branch for Business(CBB)」、特定用途の固定端末向けに機能追加を一切受け取らない「Long-term Servicing Branch(LTSB)」である。
これによって、早期に最新機能を利用したり、検証時間や対策時間を十分に確保してから機能を追加したり、OSの安定化を見極めてから導入したりといったことが可能になる。
ただ、CBでも、CBBでも、新たなアップデートを適用する必要があるのは明らかで、ユーザー企業は、最終的には半年ごとのサイクルで行われる新たなアップデート版への移行は避けられない。
「とくに、中小企業においては、WaaSの認知に関して、まだ課題が残っている」と日本マイクロソフト。WaaSの認知徹底は、今後の課題といえる。
Windows 7の延長サポート終了までは、まだ3年もあるという言い方もできるが、新たなルールへの移行が必須となるWindows 10への移行を考えると、“もう3年を切っている”という言い方が適しているのかもしれない。
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