データ分析の結果を、どうビジネスに生かすのか:DMP成功まで、あと1センチ(12)(2/3 ページ)
DMPで顧客の傾向やビジネスのタネを見つけたものの、ここで他社と同じような施策に走ってしまっては、その効果も半減してしまうでしょう。今回は、DMPを用いた具体的な施策についてのお話です。
施策がアナログでも、立派なDMPである
先日、私が通う美容室のオーナーが顧客管理に困っていたので、Excelを活用した簡易的なCRMを作りました。縦に顧客と住所、横に来訪日時などを登録する簡単なお手製CEM(Customer Engagement Management)ですが、オーナーはいたく気に入りました。
それからしばらくして、その美容院から「あぁ、そろそろ髪切ろうと思っていた!」という絶妙なタイミングでハガキが届くようになりました。そのオーナーにExcelを見せてもらうと、今回のカット内容から、次回髪を切りたいと思うであろう長さになるまで何日かかるかを予測して、日数を登録していました。さらに、その日数が短い順に並ぶようソートしており、タイミングが近づいたときにオーナーがハガキを投函(とうかん)していたのです。
はがきを出すという施策自体はとてもアナログですが、ビジネスにしっかりと貢献しているという点で、これも立派なDMPだと思います。ユーザーに応じてメールマガジンの文面を変える、ランディングページの画像を変える、レコメンドをする商品を変える……私たちは新たな技術を使ったデジタルの施策に目を向けがちです。
特にCookieを使い、IDベースで個人を絞り込めると、1to1で必ずコンバージョンさせるための施策を考えてしまいます。ですが、「デジタル」はあくまで1つの方向性にすぎません。DMPの「D」はDigitalではなくDataなのです。
DMPでインサイトが自動的に発見できるわけではないのと同じく、アクションもまた“自動”に固執することで発想の幅を狭めてしまうのではないでしょうか。例えば、ある旅行系Webサイトは、旅行パッケージ単位のアクセスボリュームを活用して、実店舗で「卒業旅行はこれがおすすめです」というポップを設置しているそうです。
今後はますます、アナログな手法まで含めた施策の実行が推進されるでしょうし、その結果がDMPに含まれることで、PDCAサイクルがより活性化していくのだと思います。
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