実用化へ踏み出したブロックチェーン:Mostly Harmless
実用化に向けた取り組みが進み、導入分野に広がりが見えてきたブロックチェーン技術。従来の価値取引における“仲介役”が不要になるというその仕組みは、何をもたらすのか? 気になる動向を探ります。
この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。
私のブログでは以前からブロックチェーンに注目していますが、ここへきて実用化がかなり近くまで来ているようです。Forbesがこんな記事を出しました。
ブロックチェーンが2020年までに「破壊」する可能性がある5つの分野(Forbes 2017/04/08記事)
ビットコインの基本技術として開発されたブロックチェーンですが、今ではビットコインよりも注目されています。
ビットコインなどの仮想通貨は、事実上送金コストをゼロにできるため、これまで送金業務で手数料を取ってきた金融機関にとっては大きな脅威です。そのような背景から、ビットコインとブロックチェーンはFinTechの分野で最初に注目されました。しかし、ブロックチェーンが及ぼす影響は金融分野に限らないのです。上の記事中にもあるように、
ブロックチェーンの真の価値は、仲介者の存在を陳腐化するというところにある
からです。
金融機関に限らず、これまで価値の取引において仲介役を果たしてきた組織や仕組みが不要になる可能性を秘めているのです。上の記事にもありますが、不動産取引やそれに関わる登記などの手続きなどは、ブロックチェーンで置き換えることができるでしょう。
他にも、役所が行っている業務を中心に、何かを仲介して手数料を得るというビジネスモデルが全て影響を受ける可能性があるということです。
また、そろそろLinux Foundationが開発しているブロックチェーンソフト「Hyperledger Fabric v1.0」がリリースされるようです。
「ブロックチェーン版Linux v1.0」は世界を変えられるか(ITpro 2017/03/28記事)
「3月下旬〜4月初頭」のリリース予定とありますが、4月10日に検索しても何も引っ掛からないので、おそらくまだなのでしょう。むしろこちらの発表の方が先行しているようです。
Hyperledger Fabric v1.0向けのエンタープライズ対応ブロックチェーン・サービスの提供開始(IBM ソリューション ブログ)
これは3月29日にIBMが出した『Linux FoundationのHyperledger Fabric v1.0をベースにしたエンタープライズ向けブロックチェーン・サービス「IBM Blockchain」』に関する発表です。Hyperledger Fabric v1.0の正式リリース前に出しちゃったんですかね。まあ、「Hyperledger Fabric v1.0」自体、IBMが主導しているプロジェクトなので、両者の開発は一体化しているということなのかも知れません。
前回の記事でもブロックチェーンの合意形成の問題について触れましたが、ITproの記事を読む限り、Hyperledger Fabric v1.0でもビザンチン問題は解決されていないようです。そのためクローズド型を採用するようですが、そのせいで「単一信頼点」ができてしまっているということです。あちらを立てればこちらが……という感じでしょうか。いろいろ大変ですね。
しかし、ソフトウェアが「0.x」から「1.0」にバージョンアップされるということには特別な意味があります。開発チーム(何といっても、≑IBMですし)としては、実用化へ向けた自信を持っているということなのではないでしょうか。今年はいろいろ面白いことが起こりそうです。
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