AI活用で観客の表情から感情を分析、ライブの“盛り上がり”を定量化する新技術、実証開始
エイベックス・グループ・ホールディングスと日本マイクロソフトが「Microsoft Cognitive Services」を活用した来場者分析システムを開発した。顔検知や感情認識などのAI機能を活用し、来場者の表情からライブの“盛り上がり”や、演奏されている楽曲との関連性を分析、数値化する。
エイベックス・グループ・ホールディングスと日本マイクロソフトは共同で、MicrosoftのAIサービス「Microsoft Cognitive Services」を活用した来場者分析システムを開発、本格運用に向けた実証実験を開始する。
同システムは、Microsoft Cognitive Servicesが提供する顔検知や感情認識などのAI機能を活用。会場内に設置したカメラに写る来場者の表情から、「喜び」「悲しみ」「驚き」といった感情の変化を検出し、ライブの“盛り上がり”や、演奏されている楽曲との関連性を分析、数値化する。
従来、ライブイベントなどの客観的な評価は、定性的な指標によるもので、定量的な効果測定は難しいとされていた。同システムを活用して来場者の反応を数値化することで、客観的な評価が可能になり、イベントの質や満足度の向上に向けた取り組みが容易になる。
これにより、アーティストのパフォーマンススキルや人気度などの定量的な評価や、演奏の順番や演出などを“受け”のいい構成にしてイベントの質や満足度の向上を図ると行った活用が期待できる。また、会場物販の購入者を分析して属性(性別や年齢など)をデータ化し、ECサイトと連動させるなど、販促活動との連携も可能になるという。
本格運用に向け、2015年日本レコード大賞新人賞を獲得したアーティスト「lol -エルオーエル-」のライブツアー『“live tour 2017 [lolz]”ファイナル』(2017年7月に東京で開催)で、実証実験を実施したほか、今後のイベントでさらに実証実験を重ね、データやノウハウを蓄積していく。エイベックスでは、同システムの実用化後、ライブイベントの効果測定ソリューションとして外販することも検討しているという。
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