Microsoftが描く「デジタルトランスフォーメーションの世界観」:Weekly Memo(1/2 ページ)
今や企業におけるIT活用の最大のキーワードである「デジタルトランスフォーメーション」。その「世界観」を日本マイクロソフトから聞く機会があったので考察しておきたい。
主力はインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジ
「2017年度はデジタルトランスフォーメーション元年だった」――。日本マイクロソフトの平野拓也社長は、同社が9月1日に都内ホテルで開催したパートナー企業向けイベント「Japan Partner Conference 2017 Tokyo」の基調講演でこう切り出した。
今回の本コラムのキーワードは、「デジタルトランスフォーメーション」である。まさに旬の言葉だが、同講演で平野氏がMicrosoftにおけるその市場の見方や基本戦略を「世界観」と表現して説明したので、それを踏まえて考察してみたい。
なお、イベント自体はパートナー企業向けだったので、基調講演では日本マイクロソフトの具体的な事業戦略や協業支援策、ケーススタディー、さらに注目度の高い人工知能(AI)技術の実演に多くの時間が割かれていた。とりわけAI技術の実演については、動画も含めたレポート記事をご覧いただくとして、ここでは世界観の話に絞りたい。
平野氏の冒頭の発言にある「2017年度」は、Microsoftでは2017年6月期となる。「デジタルトランスフォーメーション元年」と表現したのは、働き方改革の推進や最新技術の活用によるビジネス変革とともに、デジタルトランスフォーメーションが大きく進んだからだという。
そのうえで、平野氏は今後のデジタルトランスフォーメーションに向けたMicrosoftの世界観について、まず図1を示しながら次のように説明した。
「Microsoftは、これまでクラウドファーストおよびモビリティファーストを訴求してきたが、ここにきてそれがインテリジェントクラウド、インテリジェントエッジに変わってきている。その中核となる技術がAIであり、マルチデバイス、マルチセンサー、分散協調型コンピューティングだ。この概念で最も重要なのは、全てがシームレスにつながっていることである」
この概念は、Microsoftのこれからのビジネススキームともいえる。インテリジェントクラウドおよびインテリジェントエッジというと、少々難しく聞こえるが、端的に言えば、AIを駆使したクラウドおよびデバイスである。そのベースとなるのが、クラウドでは「Microsoft Azure」、デバイスではOSの「Windows 10」である。
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