日本マイクロソフトがクラウド売上比率にこだわる理由:Weekly Memo(1/2 ページ)
日本マイクロソフトが、直近の四半期で、全売上高に占めるクラウド比率がおよそ5割になったことを明らかにした。同社がかねてこの比率にこだわってきたのには理由がある。
理由1:クラウド事業を強力に推進するため
「クラウド事業の売上比率が直近の四半期で47%になった。2年前に掲げた50%の目標をほぼ達成することができた」―― 日本マイクロソフトの平野拓也社長は、同社が先頃開いた2018年度(2017年7月〜2018年6月)の経営方針説明会でこう語った。ちなみに、「直近の四半期」とは同社の2017年度第4四半期(2017年4〜6月)、そして「2年前」とは平野氏の社長就任時のことである。
平野氏は2年前、図1のように「目指す企業像」とともに、ビジネス目標として当時の四半期で7%にとどまっていたクラウド売上比率を、2017年度内に50%にすることを掲げて社長に就任した。
ただ、この「クラウド売上比率50%」というのは、日本マイクロソフトにとって経営上の予算ではなく、平野氏いわく「アスピレーション(強い願望)」だ。従って、今回47%と3%足りなかったものの、当時の7%から40%も引き上げたことで、アスピレーションとしては「ほぼ達成」との評価となったようだ。また、3%足りなかったのは、相対比率としてPCの売り上げが好調だったことが要因のため、平野氏の表情にも未達感は全くなかった。
では、なぜ平野氏はクラウド売上比率50%にこだわってきたのか。理由は2つある。
まず1つは、クラウド売上比率50%というフラグを掲げることで、日本マイクロソフトのクラウド事業を強力に推進するためだ。平野氏は、「米国本社がクラウド事業を推進している中で、2年前の日本のクラウド売上比率はグローバルで下位にとどまっていた。そこで目標を掲げて注力したところ、ほぼそれを達成できたとともに、グローバルでも先進的な立場になった」と話す。
クラウド売上比率が2年間で40%も伸びた要因については、「働き方改革に取り組む多くの企業に、Office 365をはじめとしたクラウドサービスが受け入れられた。また、この2年間でパートナー企業との連携がスムーズにいくようになり、パートナー企業のクラウド事業に向けたアクティビティーが相当活発になってきた」ことを挙げた。
こうしたことから、平野氏は日本マイクロソフトにおける2018年度以降の注力分野として、「“働き方改革”へのさらなる支援」「業種別展開の強化による“インダストリーイノベーション”」「デバイスの進化による“デバイスモダナイゼーション”」の3点を挙げ、これらを推進することによって「2020年にはパブリッククラウド市場でリーディングシェアを獲得したい」と宣言した(図2)。
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