“昭和の職員室”を“平成の職員室”に “Microsoft 365+Azure”は教師の働き方をどう変える?:Microsoft Focus(1/3 ページ)
毎月80時間以上の残業をしている教員が40%以上を占めている――。そんな過酷な教師の“働き方”を変える取り組みが佐賀県で始まった。どんな方法で学校の仕事を効率化できるのか。
小学校の教員を対象にした働き方改革は可能なのか――。この難しい課題の解決に向けて、日本マイクロソフトが動き始めた。
日本マイクロソフトは、佐賀県多久市とソフトバンク コマース&サービスと協同で、同市における「教員の働き方と児童・生徒の学び方改革プロジェクト」を推進している。生徒の学び方改革は、多くの小学校が実施しているが、教員の働き方改革に踏み出した例は、全国的に見ても珍しい。
協定書に調印した(左から)ソフトバンク コマース&サービス エデュケーションICT推進室の古泉学室長、佐賀県多久市の横尾俊彦市長、日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏
クラウド活用と教員1人1台持ちPCで“平成の職員室”へ
教員は、日常の授業を行うだけでなく、事前に教材を作ったり、テストの採点などの評価作業をしたり、さらには部活のサポートをしたりと、忙しい毎日を送っている。にもかかわらず、在宅勤務や外出先からの会議への参加といった、一般企業が進めているような働き方改革の取り組みが難しい環境にある。
そこにメスを入れようというのが、今回の日本マイクロソフトの取り組みだ。
日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏は、「残業が当たり前であり、生産性が低い“昭和の職員室”を、働き方改革によって“平成の職員室”に変えていきたい」と意気込む。
多久市では、市内にある東原庠舎中央校、同東部校、同西渓校の小中一貫の義務教育学校3校に、教務・校務クラウドシステムとして、日本マイクロソフトの「Microsoft Azure」と「Microsoft 365 Education」、ソフトバンクコマース&サービスのクラウド運用サービスを導入。教職員向けには約190台の「Windows 10」搭載PCを整備し、文書のデジタル化や情報共有を推進する。印刷文書の削減や授業コンテンツの共有などにより、教務・校務の効率化と、時間外労働の縮減を図る考えだ。
なお、教務・校務の全てにパブリッククラウドを活用するのは、国内では多久市がはじめての事例になるという。
また、2018年4月以降には、教員が自宅にデバイスを持ち帰ることを認めたり、家庭内のネットワーク接続することを認めたりといったルール変更を行い、教員が持つ1台のノートPCで、職員室や教室のほか、自宅からも使えるようにする予定だ。成績の評価の作業なども、セキュアなクラウド環境を実現することで、自宅で行えるようになるという。
ソフトバンク コマース&サービス エデュケーションICT推進室の古泉学室長は、「校務用セキュリティクラウドでは、校務クラウド認証基盤を活用し、自宅などから利用する際には、文書のカットやペースト、ファイルのコピーなどを一切禁止している。また、第三者の端末からのアクセスを排除する仕組みを採用している。自宅では、校務用仮想PCの画面を遠隔操作する形で、セキュアな環境を実現する」という。
テレワークについては、教員がインフルエンザにかかって病欠した場合や、悪天候で休校になった場合に、自宅から作業を行ったり職員会議に出席したり、児童の様子を画面を通じて確認したりといったことから始める予定だ。
また、同プロジェクトでは、多久市教育委員会が主催する多久市多忙化対策協議会に対して、日本マイクロソフトとソフトバンクコマース&サービスが技術的なアドバイスを行うことや、校務・教務用のクラウドシステムを活用した「教員の働き方と児童生徒の学び方改革」の検討ワークショップを開催して、取り組み内容などをケーススタディーとして公表することが盛り込まれている。
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